久元 喜造ブログ

童話『ひょうたん池物語』

hyotan
お恥ずかしいながら、このほど、童話『ひょうたん池物語』を出版しました。
神戸新聞総合出版センターから刊行、定価は、税別1200円です。
書店に行かれることがありましたら、お手に取ってご覧いただければ幸いです。
絵は、有村 綾さんにお願いしました。

少し昔のこと。
港のある大きな街からほど近いところに、のどかな里山が広がっていました。
里山には、なだらかな山や丘に抱きかかえられるように、たくさんの池がありました。
それらの中のひとつの池「ひょうたん池」が、この物語の舞台です。

池の水は澄んでいて、それはそれはきれいな池でした。
水面は木漏れ日を受けてキラキラと輝き、ときどき魚が跳ねると波紋を作ります。
まわりをぐるりと取り囲む雑木林には、夏になるとカブトムシやクワガタが集まり、秋になると葉っぱが鮮やかに色づき…。季節によって様々な姿を見せるのでした。

1960年代に入ると、長い年月、平和なときを過ごしてきた神戸の里山に開発の波が押し寄せます。
そして、東京オリンピックが開催された年、ひょうたん池にも大きな危機が訪れました。
池で暮らす生き物たちはどうなるのでしょうか・・・・

本書は、当時の幼い日々を回想しながら記した、私にとってのノスタルジアです。
しかし当時の様子の再現ではなく、自由に想像力を飛翔させながら創り上げたファンタジーです。