久元 喜造ブログ

救急出動「空振り」17.4% の衝撃

160826
防災の日に。
少し前になりますが、8月17日の朝日新聞一面に、「救急出動の空振り急増 63万件、10年間で1.5倍」という見出しの記事が載っていました。
119番通報で出動した救急隊が誰も運ばずに引き返す「不搬送」が急増しているという内容です。
不搬送の理由は、家族らが通報したが搬送を拒む「拒否」(32%)、隊員が応急処置をして医療機関に搬送しない「現場処置」(18%)、けが人や病人がいなかった例やいたずら(11%)などでした(2014年データ)。

不搬送の割合は、兵庫県が12.9%で、大阪府に次いで全国2番目でした。
そこで、消防局の担当幹部に神戸市の状況を聞いてみたところ、2015年の救急出動が78,264件、そのうち不搬送が13,618件で、不搬送の割合は、17.4%、兵庫県(12.7%)よりも4.7ポイントも高いと聞き、愕然としました。

2015年度の行政コスト計算書によれば、救急出動1件当たり、51,223円の経費がかかっています。
膨大な税金がむなしく使われていることになります。
コスト以上に深刻なのは、不要不急の救急出動のために、本当に必要な重症者の搬送に支障を来す可能性です。

何とかしなければなりません。
救急隊員のみなさんは、人命を第一に懸命に頑張ってくれています。
119番通報があった以上、不搬送の可能性があるからと言って拒むわけにはいきません。
現場の想いを大切にしながら、なんとか現状を改善できないか。
これまでも消防局で改善策が検討されていますが、市長副市長会議で、保健福祉局をはじめ全庁的に対応策を立案する方針を確認しました。