先日、NHKの「仕事ハッケン伝」で、北九州市役所のフィルム・コミッション担当課が取り上げられていた、という話を聞きました。
タレントが、北九州市のフィルム・コミッション担当課に派遣され、その苦労をともに味わうという設定のようです。
この課は、わずか5人の小さな課なのですが、次々、映画の誘致に成功しています。いわゆる、スゴ腕公務員が登場し、ロケ地探しや夜を徹しての撮影立ち会いなどの場面が展開されていたようです。
少し前には、「県庁おもてなし課」という映画も上映されていました。
有川浩の原作。高知県庁に実在する課を舞台にしています。全国から観光客を呼ぶための方策を考えるのが課の役割で、「おもてなし」する心で県の観光を盛り立てるための課員の奮闘が取り上げられます。
この映画を見た方によれば、顧客視点から程遠い役所の現状や雰囲気を的確についており、特に役所の人間が読んで、思わずほくそ笑むような話に仕上がっていたとのことでした。
北九州市の「フィルム・コミッション担当課」も、高知県「おもてなし課」も、いわば、花形職場と言ってもよいでしょう。
自治体の人事当局や人事委員会には、このような花形職場を前面に出し、地方公務員の仕事がいかに楽しくて、やりがいがあるかを強調し、リクルートに精を出す傾向も見られます。
このような宣伝に釣られ、公務員を志す若者もいることでしょう。
しかし、実際の自治体の組織の中で、観光や広報の職場は、全体のごく一部です
なぜなら、自治体の大半の仕事は、脚光を浴びることを目的にして存在しているわけではないからです。
大半の職員は、子育て、生活、老親の介護、まちづくり、地域の助け合い、ゴミ処理、上下水道、そして、教育・・・・地味だけれど、直接市民と向き合い、どこまで自分で対応できるのかを悩みながら、ベストを尽くそうと、試行錯誤をくり返しながらの日々を送っています。
トップが、脚光を浴びる観光や広報のことしか関心を持たないとき、そのときはそのときで、トップに関係なく、現場の力で仕事は回るかも知れません。
でも、何か、変ではないでしょうか。