本の広告「「老人優先経済」で日本が破綻」というタイトルが目に入りました。
老人が恵まれすぎている、若者が損をしている、という論調は、よく目にしますが、この本の題名も、端的に、内容を表しているようです。
「政権を維持するために借金を若者世代に先送り。改革骨抜きのアベノミクスは破綻への序曲!どうすれば生き残れるのか?」
とのキャッチコピーがありますから、まさにそういうたぐいの本なのでしょう。
ごていねいに、「注意!!! 読むと怒り出す高齢者がいます」との注意書きまであります。
現代の若者が、私たちの世代に比べて、社会保障の負担が増え、先行きに不安を感じていることは確かでしょう。
しかし、その不安や不満の矛先を、高齢者の方々に向けてどうなるというのでしょうか。
いたずらに世代間の対立を煽るだけでは、社会保障を含む、世代間負担の公平のための建設的な議論に踏み出せないことは、明らかです。
異なる世代の間で、相互理解を深め、助けあう社会のありようが求められるのに、このような本が次々に刊行されるのは、残念です。
著者は、日本を代表する新聞の記者で、関係の雑誌記者としても活躍されたそうで、
「自分の会社で書けなかったことを綴った一冊!!!!!!!!!!」
とありました。
そして、「大新聞が書かない、この国を支配しているモンスターの正体!」とも。
この方が属する大新聞は、自己抑制された、当たり障りのない記事を読者に送り続け、その一方で、ほんとうの現実を知りたいなら、自社の記者がほかの出版社で書いている本を読め!とでもいうのでしょうか。
二重の意味で、残念な本の広告でした。
少なくとも神戸では、このような発想はしたくはありません。
神戸は、市民がたすけ合いながら、震災を乗り越え、再生を果たしてきた街です。
そのような土壌の上に、異なる世代が、理解や触れ合いを深めながら、あたたかく、顔の見える地域社会をつくっていきたいものです。
きょうは、長田区地域福祉センターで開かれた給食会にお邪魔しました。
給食会では、長田小学校のこどもたちが、コーラスで「花は咲く」を披露し、お年寄りのみなさんの盛んな拍手を浴びていました。
このような取り組みを広げ、世代間の相互理解を深めていくことができれば、素晴らしいですね。