久元 喜造ブログ

選挙運動規制は抜本的見直しを

参議院議員選挙、兵庫県知事選挙の選挙運動期間も、あと残すところ、5日間となりました。
今回の選挙では、初めて国政選挙でネット選挙が解禁になり、ネットツールを有効に利用して、どう有権者の支持を集めるのかに関心が集まっています。

ネット選挙の解禁は、むしろ遅すぎたくらいで当然なのですが、ネット選挙の解禁で、公職選挙法の選挙運動規制の見直しを一段落させることがあってはなりません。

なぜ、ホームページ、ブログ、メール、ツイッターといったネットツールが選挙運動の手段として使えなかったかと言うと、公職選挙法が、「文書図画」(ちなみに、「ぶんしょとが」と読みます。)という概念を立て、文書図画による選挙運動をまず包括的に禁止し、その上で、一定のものだけの使用を認めるという規制を行ってきたからです。

文書図画は、「文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少とも永続的に記載された意識の表示」(総務省の解説書)を指すとされ、公職選挙法は、これらのうち、頒布できるものを、通常はがき、ビラ、新聞広告などに、また、掲示できるものを、ポスター、立て札、ちょうちん及び看板の類などに限定しています。

しかも、頒布又は掲示が認められている個々の文書図画については、大きさなどについて実に細かい規制がなされています。
たとえば、ちょうちんの類は、高さ85センチ、直径は45センチ以内といったふうに。

文書図画の規制は、そもそもホームページなどが存在することを想定していないのですが、文書図画の規制そのものが、選挙運動をきわめていびつなものにしていることを忘れてはなりません。文書図画に限らず、我が国の選挙運動に関する細かな規制は、少なくとも主要国のなかで類を見ないほど厳しく、珍奇なものと言って差し支えありません。

ネット選挙の解禁を突破口として、選挙運動規制の抜本的な見直しが進められることを期待します。