久元 喜造ブログ

西宮市「政治家は投票した人の代表」

nishinomiya
複数の報道が伝えるところによれば、西宮市は広報紙で、
「政治家は『国民の代表』ではなく、『投票した人』の代表に過ぎない」
と説明しているそうです。
呆れ果ててしまいました。

私もときどき、前回の市長選挙でほかの候補を支援した方から、
「久元市長は、私たちの代表ではありません」
と言われることがあります。
このような考え方、あるいは受け止め方を否定することはできないと思います。

しかし、国や地方自治体がそんなことを言うのは論外です。
代表民主制の基本原理によって運営され、その決定は国民、住民を拘束するからです。

選挙によって選ばれた議員や首長は、国民や住民の代表です。
選挙で選ばれた政治家は、自分に投票してくれた人のみならず、ほかの候補者に投票した人、棄権した人を含めたすべての国民、住民の立場に立って行動することを要請されているのです。
だからこそ、代表によって決定された事項は、その代表に一票を投じなかった人、選挙に行かなかった人に影響を与え、ときに拘束し、その決定に従う義務を課すのです。

このことを否定していては、代表民主制は成り立ちません。
政治家が投票した人だけの代表だ、という立場をとるとすれば、投票に行かなかった人の意見は国や自治体の運営には反映されないことになり、深い政治不信と疎外感を生むことでしょう。
このような暴論を述べ立てることが投票率向上につながるとは思えません。
社会の間に分断と亀裂を生むだけです。

西宮市の見解は、明確な憲法違反であり、早急にこのようなふざけた見解を撤回すべきです。