舛添知事が辞職を決意されたのは、都議会が不信任議決に動いたからだと報じられています。
不信任議決に対しては、知事は都議会を解散できますが、これは、不信任議決が知事と議会の深刻な対立を解消する最終手段だからです。
不信任議決は、住民の信頼を失った知事を住民に代わって辞めさせる制度ではありません。
知事は住民から直接選ばれており、民主的正統性の根拠が議会の信任にあるわけではないからです。
今回、不信任議決が想定しているような事態は生じていたのでしょうか。
マスコミ報道の洪水を前にして慌てふためき、とにかく知事を早く辞めさせたかったというのであれば、政治的には意味があったとしても、制度の本質からは外れています。
都議会は、知事に対する監視という本来の役割をまともに果たさなかった言われても仕方がありません。
一方、自発的に辞めない知事を都民が辞めさせる方法としては、いわゆるリコールがあります。
住民が一定数の署名を集めて解職の請求を行い、投票で決します。
必要署名数は、原則、全有権者数の3分の1以上ですが、40万を超える部分は6分の1、さらに80万を超える部分は8分の1と定められています。
規模の大きな自治体での署名収集のハードルを下げているわけです。
このうち、80万人を超える部分は、第30次地方制度調査会の意見も踏まえた地方自治法改正により追加され、私は、総務省自治行政局長のときにこの改正を担当しました。
大都市などでのリコールを、少しでもやりやすくするための改正でした。
しかしながら、現行法での署名の要件、手続きはきわめて厳格で古臭く、多数の署名収集にはなお困難を伴います。
さらなる改善策の検討が求められます。