舛添知事の辞職に関する、朝日新聞の「耕論」(6月16日)を読みました。
この中で、青山佾元都副知事は、「都知事の権限は大統領なみ」ではない、なぜなら、都庁には「競争試験をくぐり抜けて採用された」と職員がおり、「知事と議会と職員はそれぞれ独立した存在」なのだと仰います。
そして「舛添さんはそうした都政の仕組みを理解せず、大統領のように何でもできると思っていた」と批判されます。
まことに珍奇な議論です。
我が国の地方自治体は、議会と知事・市町村長の二元代表制をとっていますが、これに職員を加えた、知事、議会、職員の三元鼎立制のような議論は聞いたことがありません。
職員は、知事の補助機関であり、知事を補佐し、一体となって行動すべき存在です。
議会とも、知事とも独立して存在する職員集団なるものが存在するなら、それは超然主義に立つ官僚制であり、代表民主制とも地方自治の理念とも相容れません。
これが都庁の実態だとすれば、次の知事は、相当多数のブレーンを引き連れて都庁に乗り込み、この不可解な構造に切りまないと民意の貫徹は不可能です。
また青山氏は、東京都は「23区では政令指定都市と同様の基礎自治体の役割も担っている。知事のではなく、都政の権限は非常に大きい」と指摘されますが、知事と独立した都政の権限なるものがあるのか、まったく理解できません。
それに、23区は、地方自治法で「基礎的な地方公共団体」と明記されており、基礎自治体は東京都ではなく23区です。
この紙面では、砂原庸介神戸大学准教授、江川紹子氏が説得力のある議論を展開されていましたが、青山氏の主張には、首をかしげる点が多く、こんな意味不明の議論を展開されて一番迷惑しているのは、都庁職員のみなさんではないかと心配です。