久元 喜造ブログ

教育に関する調査研究の含意

1月策定した神戸市教育大綱は、学力の向上など7つの基本方針を定めています。
その中に「教育に関する科学的な調査研究」があります。

言うまでもなく教育は、一人一人の子供、すなわち人間と真正面から向き合う営みです。
人間とは何なのか、という根源的な問いかけから逃れることはできません。
「子供なんて所詮こんなもの」という思い込みと、「人間の心の中などわかるはずがない」という諦観との間を揺れ動いてはいけないと思います。
人間という存在は汲みつくせないものであることを前提にして、そこに近づこうとする営為が教育には求められるのでないでしょうか。

子供の心の中を理解しようとする中で、 実務に携わる私たちは、哲学的、宗教的なアプローチではなく、科学的な知見に基づく、実証的な調査研究を重視すべきだと思います。
とりわけ、急速に進展し、日々変容しているネット社会は、子供の心理にどのような影響を与えているのか、また、動機が不可解な少年犯罪が続発する背後には何があるのかといったテーマについては、不断の分析が必要です。
幸い、これらについては膨大な研究の蓄積があり、日々進化しています。
それらの成果を調査分析し、教育現場に活かしていく努力が求められているように感じます。

それらの調査研究結果が絶対に正しいという保証はありません。
だからこそ、大綱では、「それらの成果を実際の教育現場にどのように反映させていくかについては、専門家の意見を聴取しつつ、教育委員会において検討を行っていく」としています。

あるべき教育の姿を求めて、模索を続けます。