神戸新聞連載の故 貝原俊民さん 「わが心の自叙伝」第32回(3月7日掲載)は、「人間サイズのまちづくり」でした。
「阪神・淡路大震災からの教訓に学び、「巨大サイズ」「経済サイズ」「画一サイズ」によるまちづくりから脱皮して、「人間サイズ」による都市づくり」を提唱されたことが記されています。
貝原さんによれば、神戸市の創造的復興の中で、新しい都市機能の整備をめざしたプロジェクトが二つありました。
ひとつは、「HAT神戸」です。
神戸製鋼所発祥の地に、世界保健機関(WHO)を誘致し、国際協力機構(JICA)関西国際センター、神戸赤十字病院、ひょうご震災記念21世紀研究機構、人と防災未来センター、兵庫県こころのケアセンター、県立美術館などを整備し、「人の安全や安心についての研究、国際協力を、神戸市の新しい都市機能として位置付けることとした」とあります。
二つは、医療産業都市構想です。
テーマパーク構想もあったようですが、神戸市はこれを採用しませんでした。
今日、さまざまな研究機関や大学などの施設、医療機関、民間の研究所などが集まり、日本でも有数の医療産業の集積地となりつつあります。
貝原さんは、「この二つの新しい都市機能は、神戸市を経済サイズの単なる港湾都市から、人間サイズのまちへ進化させるものである」と結んでおられます。
「単なる港湾都市」という表現には、多少の違和感を覚えますが、HAT神戸と医療産業都市を、「人間サイズのまちづくり」として位置付けておられた貝原さんの視点は、改めて新鮮に感じました。
人間サイズという視点を忘れることなく、前に進んでいきたいと思います。