久元 喜造ブログ

iPS細胞移植手術の成功

金曜日から大きく報道されていますが、iPS細胞から作られた網膜色素上皮細胞を移植する手術が、神戸市のポートアイランドにある先端医療センター病院で実施され、成功しました。
iPS細胞から作られた細胞を患者に移植する手術は、世界で初めてです。

何よりも安堵したのは、手術を受けた患者さんが、お元気な様子で、報道によれば症状に改善が見られるということです。患者さんに手術を施す以上、そこで得られる医学的知見がいかに貴重とは言え、患者さんの症状によい影響があることが何よりも大事だからです。
もちろん、症状の改善が今回の手術によるものかどうかは、今後、術後経過を含め、専門的知見を総動員して見極めていかなければなりません。この点について、手術チームが慎重な見解を表明されていることは納得できることです。
京都大学の山中伸弥教授によって開発されたiPS細胞が、実際の患者の治療に使われたのはこれが初めてのこと。今回の手術は、再生医療の実現に向けた大きな一歩になると期待されます。

神戸市は、これまで医療産業都市構想を推進し、先端医療振興財団を設立するとともに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)に対して、支援を行ってきました。
今回の手術は、CDBの高橋政代プロジェクトリーダーをはじめチームのみなさまのこれまでの研究が結実したものです。そして、先端医療振興財団の先端医療センター病院で手術が実施され、成功したことは、神戸市民として誇りに感じます。

今後、神戸発の医療技術がさらに発展し、再生医療の対象も拡大して、これまで治らなかった病気の治療に適用され、医療水準の向上に貢献していくことを期待したいと思います。