先日、全国の小中学校の 「平成26年度全国学力・学習状況調査」 いわゆる学力テストの結果が文部科学省から公表されました。
学校別のテスト結果を公表すべきかどうかが、以前から議論になっていました。また、都道府県別、市町村別の状況や順位も話題になっているようです。
現行の教育行政の制度では、教育の実施そのものは教育委員会の責任であり、市長の任務は、必要な予算措置を講じたり、議案を議会に提案することなどに限定されています。
しかし、さまざまな議論を経て制度が改正され、来年度からは、教育に関する知事や市町村長の責任は格段に大きくなります。教育は教育委員会の担当です、と言っているわけにはいかなくなりました。
そのような制度改正を前提にすれば、学力の向上は、やはり自治体として全力で取り組んでいかなければならない課題だと思います。
「学力の向上」という言葉を口にした途端、「教育は学力の向上だけが目的ではない」「学力一辺倒はおかしい」「必要なのはむしろ人間力だ」といった批判の声をよく耳にします。
しかしそのような声を前にして、教育界が学力の向上に後ろ向きになるような風潮を生んでいるとしたら、それはたいへん残念な事態です。
教育の目的が学力の向上だけをめざすものではないことは自明です。教育は、子どもが生きる力を身につけ、規範意識を養い、豊かな感性を持った人間として成長していくことを助ける営みでなければなりません。
しかしこのことは、学力の向上を否定するものではないはずです。
少なくとも、制度改正後の市長を含め、教育に責任を持つ立場の者は、これら自明の議論を前にしてたじろぐことなく、学力の向上のために、最大限の努力をしていかなければならないと考えます。