久元 喜造ブログ

NHK「クローズアップ現代」のずさん報道

4月20日に放送された「クローズアップ現代」は、「平成の大合併」を特集しました。
この中でインタビュー出演された篠山市の酒井隆明市長から、「視聴者の誤解を招く」として、NHKに意見書が提出されたという記事が、きょうの神戸新聞朝刊に掲載されていました。

記事によれば、同特集は、合併に関わった自治体のひとつに篠山市を選び、同市については、財政難や市民サービスの低下などが取り上げられました。
市職員や住民の声など最近の取材画像とともに、酒井市長のインタビューがあり、「(行政が)何をしていたんだという思いはもたれると思う」などと発言されたようです。
ところが、この番組の制作にあたって酒井市長への取材はなく、このインタビューは、今から6年も前の2008年の取材分だったというのです。この点の説明は番組ではありませんでした。
酒井市長は、NHKに送った意見書の中で、「最近の市の取り組みについて触れられず、不誠実だ。過去の取材画像を時期を明示せずに使われ残念」とされています。

ひどすぎるのではないでしょうか。
私も、テレビからインタビューを受けることはありますが、それは、取材に関するそのときどきの状況やテーマがあり、それを前提として、聞き手の質問に答える形で行われます。
そのような取材もせず、過去の、しかも相当昔のインタビューを使って番組を制作するとは、番組のシナリオが初めからあり、それにふさわしい画像を探し出してきて、都合よく使ったとしか思えません。

しかも、記事によれば、NHK広報局は、「当時のインタビューを使用することは市の担当者に伝えていた。市長の理解を得ていなかった点は配慮すべきだった」とコメントしていますが、こんな大事なことを、担当者が市長に伝えないということがあるのか、大いに疑問です。
看板番組でこのようなずさんな制作、報道、そして、不誠実な対応がなされるようでは、国民のNHKに対する信頼が揺らいでいかないか心配です。