久元 喜造ブログ

「海文堂”復活”検討」について

きょう、4月5日(土)の神戸新聞朝刊1面に、「海文堂”復活”神戸市が検討」という記事が掲載されていました。
昨年9月、100年近い歴史に幕を下ろした神戸・元町商店街の「海文堂書店」の復活に向け、神戸市が検討を始めたことが分かった、という内容です。

まだ、本格的な検討をしているわけではありません。
海文堂の閉店によって、元町商店街には書店がなくなってしまったことを嘆く声はよく耳にするところで、「行政として対応するは適当か、その場合に、何か方策はないか」、といった議論を庁内でしている段階です。

書店が次々に消えている理由は、いくつか挙げられると思いますが、最大の要因はネット社会だと思います。
先日も、大学生の4割が読書する習慣がない、という調査結果が報道されていましたが、本に代わって大学生がいつも手にしているのはスマホです。
いうまでもないことですが、アマゾンなど書籍のネット販売が著しく拡大してきたことが、書店での書籍販売の減少をもたらしています。
ネット販売は私もときどき利用しますが、とにかく便利です。
また、電子書籍の影響もあることでしょう。

このような背景を考えれば、街の中から書店が消えていくのは、社会の変化に伴う必然であり、消費者の合理的選択の結果だという見方もできます。そうであれば、行政がこのような消費者行動やマーケットの動向に逆行するような対応をするのは、適当ではないし、無理があるという考え方もあることでしょう。
庁内には慎重論もありますし、実現に向けての課題もたくさんあります。
市民レベルでの議論を期待したいと思います。

もし、前を向いて検討を進める場合にも、「神戸市営書店」のような発想ではなく、活字を愛する市民が書店を支える仕組みをどのようにして構築できるか、という視点を大切にしたいと思います。