山田洋次監督は、私が青春を過ごした大学の寮の先輩です。
1975年の冬、ある事情があって、この寮に転がり込んでしばらく経った頃、寮の伝説的な先輩として、名前を教えられたのが、山田洋次監督でした。
私はそれだけのご縁なのですが、家内の久元祐子は、山田洋次監督とずいぶん懇意にしていただいています。
「冬山をしげしげと眺めてみたい」とおっしゃる監督と、冬山のドライブをご一緒させていただいたこともあるそうです。
「寅さん」シリーズで、日本のふるさと、そして、日本人の心を描いてこられた監督は、常に自然の風景との出会いを求めておられたのかも知れません。
「この山が見えるところに住んだら、きっと四季の移り変わりの中で、いい交響曲を創ることが出来るんだろうね」というお言葉からは、自然のありようと創作の姿が結びついているように感じられた、と家内は言います。
山田洋次監督は、神戸と深いご縁があります。
「男はつらいよ」の48作目「紅の花」(1995年12月公開)では、寅さんは、震災直後の被災地、長田に現れます。
長田ロケは、地震の年の秋、長田で行われました。そして、これが寅さん最後のロケ地となりました。
家内から聞いた話では、山田監督は、
「渥美清さんは、きれいなひとだった。爪も綺麗に手入れされていて女性のように美しい肌だった」
と、おっしゃっていたそうです。
寅さんの清潔感は、こまかなところから生まれていたのかもしれません。
小津安二郎監督に捧げられた「東京家族」は、「東京物語」への感動から生まれ、家族の絆を描いた作品として知られます。
「東京家族」の制作は、東日本大震災のために 一年延期され、 主人公の男女が震災ボランティアで出会う、という設定に変更されました。
山田洋次監督の 最新作「小さいおうち」は、来月1月公開予定です。
残念ながら、寸暇を惜しんで活動をしている私は、しばらく映画から遠ざかっています。
「小さいおうち」を鑑賞させていただくのを、楽しみにして、また、明日、一日、神戸を回ります。