久元 喜造ブログ

「持続可能な大都市経営」再読


私は、神戸市で仕事をし始めて以来、ずっと「持続可能な大都市経営」について考え続けてきました。
2017年(平成29年)には、『神戸市の挑戦-持続可能な大都市経営-』を刊行することができました。
総務大臣ご在任中にお仕えしました 増田寛也氏(現:日本郵政株式会社社長)との対談を交え、人口減少時代における都市戦略の方向性を論じました。

刊行から7年たち、久しぶりに再読しましたが、都市経営に関する考え方がまったく変わっていないことを確認しました。
持続可能な大都市経営のためには、目先の支持調達に目が眩んだバラまきを自制し、行政サービスに関する受益と負担に関する健全な議論を展開し、議会の判断を仰ぐ必要があると記しました。
大都市と周辺自治体が、政策展開を競い合うのは好ましいことですが、個人給付や負担のありようを競い合うのは、単なる財政の消耗戦であり、いつの日か共倒れになる危険性を孕んでいるとも指摘しました。

残念ながら我が国の人口減少は加速し、ブログでも何度も取り上げていますように、人口のみならず、富・人材・情報の東京一極集中が加速しています。
自治体が若年世代向けの行政サービスの水準を競い合い、若年世代の奪い合いを演じる傾向も見られます。
財政の消耗戦とも言えるサービス合戦は、一時的な勝利者を生み出すかもしれませんが、個々の自治体にとっても、我が国全体にとっても、持続可能でないことは明らかです。

関西圏には、京都市、大阪市、堺市、そして神戸市と、4つの指定都市が存在します。
4つの大都市が各圏域の他都市も含めて連携し、関西圏全体の発展につなげることができる都市戦略が求められています。