久元 喜造ブログ

東京都知事選挙のグロテスク


7月7日に投開票された東京都知事選挙では、これまでにない選挙運動手法が用いられました。
その模様は広く報道されているとおりで、グロテスクな選挙だったという印象は禁じ得ません。
今後、ポスター掲示場や政見放送などのあり方などについて議論が進むと思われます。
地方選挙を含め、公職選挙法における選挙運動のルールを決めることができるのは、国会議員各位だけなので、政党内部において議論を進め、政党間の合意を見出していただきたいと願っています。

同時に、今回起きた個々の事象に対して、個別の規定を改正するという対応だけで十分なのかとの疑問は残ります。
人々の関心を集めて経済的利益を獲得しようとするアテンションエコノミーが、選挙の分野に進出してきたことを意味し、自らの利益拡大のためのツールとして選挙を利用する試みであったと見ることもできます。
そうであれば、候補者の経済的負担を減らし、選挙運動における候補者間の機会均等を図る見地から設けられている選挙公営、すなわちポスター掲示場、選挙公報、政見放送、新聞広告などついて、抜本的に見直すことが求められるような気がします。

今回の都知事選挙で見られた異常な選挙運動に関する事象が、他の選挙でも起きるのかどうかは分かりませんが、注目度の高い選挙で再現される可能性も否定できないことから、まずは個別規定の改正を急ぎ、その後に抜本的な制度の見直しについての議論を進めることが求められると感じます。
一方、今回の事象は、東京都のガリバー的存在とともに、国民的関心の分野においても東京一極集中が加速している現実を改めて見せつけてくれました。
地方の人間にとっては、残念なことですが。