久元 喜造ブログ

モーツァルト・協奏曲「ジュナミ」私が好きな曲⑫

モーツァルトのピアノ協奏曲は、好きなジャンルです。
珠玉の名曲群の中でも、20歳のときに創られた第9番 変ホ長調 K271 《ジュナミ》は、燦然と輝く名曲です。
高校生のときから、この曲が大好きでした。

当時の協奏曲の様式としては、かなり独創的な箇所が随所に見られます。
冒頭では、オーケストラがテーマの前半を奏すると、意表を突き、後半部分をピアノが受け継ぎます。
このときオーケストラは沈黙し、ソロのピアノが際立ちます。
見事な対比です。
そしてオーケストラが提示部を奏し、ピアノが入るとき、通常はオーケストラのテーマをなぞることが多いのですが、この曲では、オーケストラがまだ提示部を奏している間にピアノがトリルで侵入し、華やかな雰囲気が広がります。
その後の流れの中でも、ピアノはオーケストラには出てこないモティーフを弾き、緊張感をはらみながら、変化に富んだ、生き生きとした音楽が流れていきます。

ハ短調の第2楽章は、バイオリンが低音で悲しみを湛えたテーマを奏で、やはりピアノはこのテーマをなぞるのではなく、異なる旋律を歌います。
対立の構図なのですが、このテーマの原型は実はオーケストラのテーマの中にあり、見事な対立と融合を醸し出しています。
第3楽章は自在な運動性をはらんだロンドで、かなり大規模に創られており、二つのカデンツァを挟んで、中間部にはメヌエットが挿入されています。
後年の名曲、変ホ長調 K482を想起させます。

家内の久元祐子が、エンリコ・オノフリ指揮ハイドン・フィルハーモニーと協演したコンサート(2023年7月2日 紀尾井ホール)の動画がアップされていますので、お聴きいただければ幸いです。