久元 喜造ブログ

雨宮寛二『世界のDXはどこまで進んでいるか』


「基礎編」「戦略編」「事例編」の三編で構成されています。
「基礎編」では、単純にアナログをデジタルに置き換える「デジタイゼーション」、特定の業務プロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」、企業組織全体をデジタル化する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という流れで進化してきた経緯が説明されます。
そして、デジタル化がもたらす効果を最大限に引き出すためには、「開発プロセスの敏捷性を伴うアジャイルなアプローチを組織的に展開できることや、完成度を高めるためにプロトタイプの作成や実験を何度も繰り返すことを歓迎する文化を全社的に醸成すること」などの重要性が指摘されます。

DXを進める上でデータが極めて重要な役割を果たしますが、蓄積されたデータを活用するためには「データ統合」が必要になります。
企業内でテータ統合が進まなければ、収集されたビッグデータはサイロ化されて部分最適に留まることになるため、全体最適に基づく戦略能力の発揮や業務能力の遂行が閉ざされることになるからです。

「戦略編」では、企業がDXを推進して全体最適化を図るための戦略が語られます。
とりわけ、データとロジックに基づく意思決定を進める「データドリブン戦略」、社員のスキルと能力の最適化を図る「ヒューマンスキル戦略」が重要であるように感じました。

「事例編」では、先進的なDXの取組みが紹介されます。
例えば、ウーバーが構築した独自の機械学習プラットフォームの「ミケランジェロ」では、配車アプリを組み込んだサージプライシングなどさまざまなツールが開発されてきており、誰もが簡単に利用できるようにしていることが印象的でした。