久元 喜造ブログ

中北浩爾『日本共産党』


日本共産党は、戦前、戦後を通じ、同じ名称で活動してきた政党です。
日本の近代史を立体的に理解したいという思いから拝読しました。

日本共産党は、1922年7月15日、東京・渋谷の高瀬清の部屋に、堺利彦、山川均ら8名が集まり、秘密裏に結成されました。
人事では、総務幹事に荒畑寒村、副総務幹事に山川と高津、国際幹事に堺が就任しました。
同年11月5日に始まったコミンテルン第4回大会に高瀬らが出席して正式結成を報告し、日本支部として承認を受けました。
本書では、結党以降の日本共産党の活動と外部環境について、コミンテルンなど国際共産主義運動との関わり、政府からの弾圧、学界、労働運動との関係などの観点から語られていきます。
著者は、日本共産党が非合法活動を強いられ、組織的な弱点も持っていたと指摘します。
それにも関わらず「不釣り合いなほどに大きな影響力を持った」のは、「知的権威を身にまとっていた」からでした。
共産党の主張は、プロレタリア文学などを通じて学生や知識人に浸透していきました。

1945年、戦争の終結により、府中刑務所内の予防拘禁所に囚われていた徳田球一、志賀義雄ら12名の共産主義者が釈放され、網走刑務所の宮本顕治、仙台刑務所の袴田里見、豊多摩刑務所の神山茂夫らが合流し、党の再建が進められます。
1945年12月1日から二日間、19年ぶりの党大会が約500名が参加して初めて公然と開催され、新たな綱領が決定されたほか、指導部の人事も決まりました。
翌年には、中国・延安から野坂参三が帰国します。
今日に至る日本共産党の綱領、活動方針、憲法への対応の変遷も、興味深いものでした。(文中敬称略)