久元 喜造ブログ

道具・手段・目的の関係性について


昨日、職員研修所で係長のみなさんにお話をしました。
20分話し、質問が10分だったので、話題はひとつだけに絞りました。
道具、あるいはツールについてです。

道具を使うのは、ふつう担当のみなさんです。
どんな仕事であっても、良い道具が必要です。
道具の究極の姿を見るには、 竹中大工道具館 が最高だと思うのですが、残念ながら行ったことがあるのは一人だけでした。

道具は、組織の上位にいる人間にとっては、遠い存在です。
組織の上位にいる者にとり、所与の目的を達成するためにできる限り効率的な手段を求め、その手段のために使われる道具には手段との関係で最大限の効用を発揮するものを求めます。
目的 → 手段 → 道具 という上から目線の発想です。
ところが、道具はいったんつくられると、手段達成のための存在であることを超え、独立性を獲得します。
違う手段のためにも効用を発揮することができる存在になります。

道具を手にして仕事をしているのは担当職員です。
担当職員の身近にいて、その道具がどのように使われ、手段として十分な効用を発揮しているのか、あるいはほかの分野への活用に関する潜在可能性があるのかを最も知る立場にあるのは、係長のみなさんです。
道具 → 手段 → 目的 という逆ベクトルの発想が可能になります。
そこでは、道具の使われ方から見た手段の有効性、さらには自明のこととされてきた目的の妥当性への疑問の提起につながる可能性があるのではないか。
当日私が使った例が突飛だったので、わかりにくかったのかもしれませんが、係長のみなさんには、このような視点も織り交ぜながら、現場目線で仕事にあたっていただきたいと感じています。