久元 喜造ブログ

「政策を自分たちがつくったという感覚」


前日銀総裁、白川方明氏の大著『中央銀行』の第23章「組織としての中央銀行」の中に、こんな一節がありました。
「多くの政策委員会のメンバーが「この政策は自分たちが作ったものという感覚」(sense of ownership)を持てるようにすることは重要である」。
日銀の政策委員会に関する言及ではありますが、組織一般に当てはまる、とても重要な指摘と感じました。

どのような組織であっても、その組織の構成員は、自分たちがやりたい仕事をしたいという思いがあるはずです。
新型コロナへの対応が求められたとき、神戸市の職員のみなさんは、次々に新しい施策を編み出し、実施に移していってくれました。(2020年6月24日のブログ)。
職員のみなさんは、まさに「自分たちが作ったものという感覚」を持って取り組んでくれたはずです。
だからこそ、説得力のある言葉で説明し、受け入れられたのだろうと思います。
上司の指示には従わなければなりませんが、指示を受けてその仕事に従事するみなさんに当事者意識に根差した感覚が欠如していれば、良い成果が挙がるわけはありません。
ましてや意味不明の仕事をやらされ続ければ、士気は下がります。

もちろん、職員のみなさんにとり気が進まなくても、大局的見地からやってもらわなければならない場合もあります。
大事なことは、それぞれの組織が目指している大きな方向が何なのかについて、目的意識を共有することだと思います。
そのような方向に沿った施策を構成員にどんどん出してもらい、それらは「自分たちが作ったものという感覚」を伴って実施に移していくことができる雰囲気をつくり上げていければと感じます。