新型コロナ感染症という、目の前にある見えない敵との戦いに全力で取り組んでいます。
組織の総力を挙げて、今やるべきことをやらなければなりません。
同時に、感染症との戦いは、古今東西、人々が経験してきたところであり、過去の歴史から学ぶことも重要です。
仕事の合間を縫い、『神戸市史』を紐解くと、『神戸市伝染病史』からの引用があったので、早速庁内から取り寄せました。
1925年(大正14年)に、神戸市役所衛生課が編んだ労作です。
1918年(大正7年)から1920年(大正9年)にかけて蔓延した「流行性感冒」(いわゆる「スペイン風邪」)に関する記述は多くはありませんでしたが、当時の流行の様子と神戸市政の対応状況の一端を知ることができました。
「緒言」は、「現実に於ける幾多の障害を排除し、其矛盾を調和する事に於て、初めて大都市の矜持を保ち得るのである」と結ばれます。
当時、神戸市の衛生行政を担った人々の使命感が窺えます。
「スペイン風邪」の感染拡大防止には、内務省衛生局 が大きな役割を果たしました。
内務省衛生局が編んだ『流行性感冒』(1922年)は、「スペイン風邪」大流行の記録です。
出版社の 平凡社 により、2008年に復刻されました。
先見性のある出版企画だったと感じます。
しかも同社は、この貴重な資料を、5月15日まで無料で公開しており、さっそくダウンロードさせていただきました。
衛生局長通知(大正8年2月1日付)の中には「地震の震(ゆ)り返しよりも此病気の再発(ぶりかへし)は怖ろしい」という一節もありました。
平凡社におかれましては、時宜に叶った対応に敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げます。