かつて、例えば30年ほど前、郡部において投票率が極めて高かったという事実の背景には、人々にとり、町村役場や町村議会が身近な存在であったということがあるのではないかと思います。(2019年4月25日のブログ)
月日は流れ、社会のありようは大きく変わりました。
人の周りに、現実の人間関係の距離に応じて、同心円状に世界が存在しているというモデル(2019年5月16日のブログ)は、おそらくは完膚なきまでに破壊されたのではないかと思います。
その最大の要因が、ネット空間が世界を覆い尽くしてきたという現実にあることは言うまでもありません。
ネット化の進展は、リアルな世界において存在していた人間同士の距離感を根底から変容させました。
遠い世界を近く、身近なものとするともに、かつて現実に存在してきた身近な世界を相対的に遠いものに変えたと思います。
人がスマホなどでネットを通じ、どこにでもアクセスできるようになり、ネット空間に身を置く時間が長くなったことに伴い、現実の身近な世界との関わりは疎遠にならざるを得ないからです。
地方選挙における投票率の低下は、ネット世界の進展と密接に関連しているように思えます。
ネット世界は、いまやリアルな存在となりました。
ツイッターでトランプ大統領といつもつながっている人にとって、すぐ近くにいる市長や議員の方が縁遠い存在になってしまったのかもしれません。
これは残念なことですが、それが現実です。
ネットをツールとして活用しながら、顔の見える地域社会を復権させていくことが、迂遠なようですが、地域社会への関心を高め、地方選挙の投票率向上につながる可能性を有しているのではないかと愚考します。