昨日の午前中、王子動物園ホールで「生物多様性シンポジウム」が開催されました。
環境保全活動を行っている団体、高校生などのみなさんに多数参加していただき、私から、これまでの活動に対し感謝を申し上げました。
シンポジウムでは、まず「環境DNA:水をくんで生物分布を知る新たな手法」と題された、神戸大学大学院人間発達環境学研究科 源利文 准教授の講演が行われました。
神戸市では、源准教授のご指導を得て、環境DNA調査に取り組んでいますが(2018年3月1日のブログ)、直接先生のご講演を聴くことができ、たいへん勉強になりました。
「種特異的検出」と呼ばれる調査法では、ある特定の種の在・不在が明らかになります。
実際にこの手法により、神戸市北区とその周辺の82の池を調査したところ、7つの池で、カワバタモロコのDNAが検出され、実際に、6つの池でカワバタモロコが捕獲されたそうです。
また、希少種のオオサンショウウオと、外来種のチュウゴクオオサンショウウオは、外見での区別は困難ですが、この手法を使うと判別することができます。
「メタバーコーディング」は、複数の種をまとめて検出する手法です。
兵庫県内の河川、225地点でこの手法により生物分布調査をしたところ、在来種 43種、外来種 15種のDNAが検出されました。
在来種のうち、16種は希少種です。
生物分布を正確に知ることは、希少種を含む生物を保護し、生息環境の保全のあり方を検討する上で大きな手掛かりとなります。
今後とも、環境DNA調査手法を有効に活用して、できる限り正確に生物分布を把握し、生物多様性の保全に役立てていきたいと考えています。