久元 喜造ブログ

環境DNA調査に挑戦


いま、川や池から水を採取して分析するだけでそこに棲む生物が分かる「環境DNA調査」が注目を集めています。
神戸市は、この環境DNA調査を活用して、希少な生物や外来種を調査する試みを、全国の自治体に先駆けて行います。
神戸市会に提案されている平成30年度予算案に、必要な経費を計上することにしました。

DNAは、生物の設計図とも言われており、全ての生物の細胞にはDNAが存在します。
動植物が排泄したり、組織片が体から離れたりして水中に存在するようになったDNAの断片を「環境DNA」といい、自然の水にはこの環境DNAが多量に含まれています。
環境DNA調査の利点は、川や池の少量の水を分析するだけで、生息する生物の把握ができることです。
実物を発見できなかった生物でもそこにいる可能性があることがわかり、これまで実物を見ることができなかったために「存在しない」とされてきた生物の生息可能性を確認することができます。
調査に要する手間や費用も大幅に減らすことができます。

現時点では調査の対象となる生物種が限られているため、来年度は、ヒダサンショウウオなどの希少な生物の生息の確認、外来種であるアカミミガメの駆除効果の検証に活用します。
実績を積み重ね、対象種の拡大にもつなげていきます。
環境DNA調査技術は、神戸大学発達科学部の源利文准教授が先駆的に取組んで来られました。
神戸大学と連携して取り組み、技術の確立と環境アセスメントなどへの活用を模索していきたいと考えています。