NHKの大河ドラマは、2015年に放映された『花燃ゆ』以来見ていません。
史実が正しく描かれているのかどうかが気になってしまい、素直にドラマを楽しむことができないのです。
史実を正しく検証することが難しいことはわかっているのですが、明らかに特定の視点が入っているように思えたり、あまりにも誇張や飛躍があるように感じられたりすると、観る気が失せてしまいます。
とりわけ我が国の近代が舞台である場合には、関心が強いだけに、いつもそのような想いを抱きながら観るのは苦痛です。
その点、特定の時代や人物を描くのではなく、空想の世界が繰り広げられるファンタジーは、史実との緊張関係から解き放たれ、自由に楽しむことができるような気がします。
とくに、『精霊の守り人』は圧巻で、毎回欠かさず録画し、ようやく見終えることができました。
綾瀬はるかさんの演技はもちろん素晴らしかったのですが、架空の物語の中に、現代のさまざまな寓意がちりばめられているように感じられたからです。
国家同士の葛藤、大国の覇権への欲望、そのような中にあって弱小国が生き残る術・・・
支配者に翻弄される人々、満足な武器や食糧も与えられず戦場に駆り出される庶民・・・・
帝の神聖性、宮廷内の暗闘、親と子の葛藤・・・
超自然的なものの存在、神託の解釈、そして自然界の異変・・・・
現実には存在しない世界の衣装、建築物、家具、武具、料理なども興味深かったです。
最終回、タルシュ帝国は滅び、殺戮の限りを尽くしたラウル王子にその後の世界は託されるのですが、作者はそこに人間の再生可能性を見出したかったのでしょうか。