久元 喜造ブログ

西洋美術館、世界文化遺産登録を喜ぶ。

広く報道されていますように、ユネスコの世界遺産委員会は、「ル・コルビュジエの建築作品」の世界文化遺産登録を決定しました。
その中に、上野の 国立西洋美術館 が含まれます。
宮田亮平文化庁長官をはじめ、今回の世界文化遺産登録に尽力されたみなさまにお祝いを申し上げます。
国立西洋美術館と縁が深い神戸市としても、たいへん喜ばしく感じています。

6月29日の定例記者会見 でも申し上げましたが、国立西洋美術館は、フランス政府から返還された「松方コレクション」を収蔵するために建設されました。
戦前、川崎重工業の前身、川崎造船所の社長などをつとめた実業家、松方幸次郎(1865 – 1950)は、ヨーロッパに赴き、フランスを中心に膨大な美術品を収集しました。
しかしながら、第2次大戦後、モネ、ゴッホなどの主要な作品はフランス政府に接収され、日本政府との間で返還交渉が行われました。
交渉は実り、日本に返還された「松方コレクション」を収蔵し、公開する施設が整備されることになりました。
設計は、フランスの建築家、ル・コルビュジエ(1887 – 1965)が当たり、1959年、国立西洋美術館 として開館しました。

これらの経緯は、松方幸次郎の生涯を描いた『火輪の海』(神戸新聞社編)(2014年8月17日のブログ)の中でも、詳しく触れられています。
matsukata

神戸市立博物館では、9月17日から11月27日まで、「松方コレクション展」が開催されます。
神戸港開港150年記念のプレイベントです。
このような時期に、今回の朗報が飛び込んできたことを、本当にありがたく感じています。