きょうは、参議院議員選挙の投票日です。
是非、みんなで投票にいきましょう!
そんな日でもあり、政治に関する新書について記したいと思います。
杉田敦『政治的思考』
書店で、以下の目次を見て購入することにしました。
第1章 決定 第2章 代表 第3章 討議 第4章 権力
第5章 自由 第6章 社会 第7章 限界 第8章 距離
古典的名著の引用はなく、一貫してご自身の言葉で平易に語られています。
読者が、目が覚めるような鋭い分析や強烈な主張を期待するとしたら、多少物足りないことでしょう。
たとえば、「第2章 代表」で、筆者は「政治は・・・価値の複数性や多元性を前提としながら、いくつもの「正しさ」の間で調整や妥協を図る営み」だと説かれます。
常識的な視点です。
その一方、代表制の必要として「演劇」の文字が目に入った途端、いわゆるパフォーマンスから距離を置いた「代表」でありたいと考えている私は、違和感を覚えました。
しかし、「政治的争点や対立軸がはじめから明確でない」ことは確かであり、「代表による政治劇を観ることで明らかになっていく」のは、そのとおりだと思います。
新鮮な指摘です。
読み進めていくにつれ、筆者の思考方法が次第に浮き彫りになっていきます。
その到達点は、「第8章 距離」
「政治的思考にとって大切なのは、他の人との距離の感覚」だと筆者は説きます。
「距離の感覚とは「間合い」のようなもので、極端に距離をとればいいのものでもなければ、距離のないべったりとした関係に入ってもいけない」
成熟した思考のありようを感じました。