久元 喜造ブログ

医療産業都市・次世代に向けた情報発信を

神戸市では、阪神大震災からの復興プロジェクトとして、医療産業都市づくりに取り組んできました。
ポートアイランドには、次世代スーパーコンピュータ「京」やiPS細胞などの研究機関、多くの医療関連企業が立地しています。

医療産業都市のプロジェクトに着手して15年が経過し、研究者の数や医療関連企業の数では、既に国内でナンバー1の集積を誇っています。
しかしながら、市民のみなさんの間では、医療産業都市について、それほど理解が進んでいるとはいえないように感じられます。直接、自分たちに関係しているという実感が薄いのではないでしょうか。

その理由としては、iPS細胞、ES細胞といった研究内容の難しさに加えて、実用化に時間がかかることが挙げられます。
iPS細胞にしても、ようやく世界で初めて、患者さんへの応用が神戸で行われることになりました。医薬品や医療機器も実際に販売出来るようになるまでには、何年も研究開発を続けなければなりません。
このため、製造や販売が遠い先のことになり、地元の中小企業にとっては「自分たちに仕事が来ない」プロジェクトとなってしまっています。

これを解決するには、政府の特区制度を活用して、迅速に厚生労働省の認可が得られるようにすることともに、介護機器や健康関連など、すぐに市場に出せる分野に、地元中小企業が参入できるような取り組みを強化する必要があると思います。
優れたモノづくり技術を有する神戸の中小企業にとって、これらの分野は、比較的、参入しやすい分野だと思われます。
行政は、産学官連携や販路拡大支援など、コーディネーターとしての役割を果たしていくことが求められています。

同時に、次代を担う子どもたちに、「君たちが大人になる頃には、ここ、医療産業都市で生まれた素晴らしい医療技術が、世界に普及しているだろう」というアプローチの情報発信があってもいいように感じます。
有名なSFドラマ「スタートレック」に出てくる最新機器の中には、実際に今日、実用化されているものが幾つかあるという話を聞いたことがあります。
「医療の未来」に挑戦している医療産業都市も、時代を先取りし、未知の医療技術に日々挑戦し続けている存在なのだということを、わかりやすく情報発信していきたいものです。