米国第35代ケネディ大統領が、上院議員時代に著した著作です。
ブリュッセルに向かう機中で読みました。
4月6日のブログ で触れましたように、キャロライン・ケネディ駐日大使から頂戴しました。
ジョン・クインシー・アダムズをはじめ、8人の上院議員がとりあげられています。
トクヴィルの「アメリカのデモクラシー」と同時に読んだので、余計に興味深かったです。
本書で紹介されているのは、政治家の「気高さの物語」です。「自らの築き上げた地位に対する脅威、自らの信念に対する世の中の無理解、人格に対する誹謗中傷、そして悲しいことにごくまれにしか受け入れられなかった本人の評価や主義主張の証明の物語」です。
たとえば、南北戦争前夜、連邦の絆の維持に奔走した3人の上院議員がいました。
南北が激しく対立していたこの時期、各州の上院議員は、連邦に対する忠誠か、自分の州や選挙区に対する忠誠のどちらを選択するのか厳しく迫られます。
3人の上院議員は、連邦の解体阻止と戦争の回避をめざし、それぞれのありようで上院を舞台に闘うのですが、その結果、選出母体である州の人々から受けた非難と攻撃はすさまじいものでした。
その一人ダニエル・ウェブスターについて、大統領はこう記しています。
「合衆国上院を、地元選挙民の見解を義務的に記録する単なるロボットの集団以上のものに育て上げた人物、あるいは大衆の感情の流れを予測しそれに乗ることだけが上手な日和見主義者の集団以上の存在にした人物・・・の話は、今改めて目を向ける価値があるのだ」。
本書では、民意と政治家の良心との衝突が現出する、過酷なドラマが展開されていました。