アルジェリアの首都アルジェ。
入り組んだ路地-カスバの酒場が舞台です。
昨晩、同窓会で、カスバに行ったことがある旧友の話を聞き、改めて、この歌を想い出しました。
1950年代から60年代にかけて、アルジェリアは、壮絶な独立戦争のまっただ中にありました。
この時代を舞台に、フランス軍に雇われた傭兵と、パリから流れてきた「酒場の女」の、つかの間の恋情が歌われています。
女は、いろいろな事情があって、植民地アルジェリアに行き着いたのでしょう。
華やかだったパリでの昔話を、傭兵に語ります。
セーヌのたそがれ 瞼の都
花はマロニエ シャンゼリゼ
赤い風車の 踊り子の
いまさらかえらぬ 身の上を
しかし、傭兵も、「酒場の女」も、所詮は「買われた命」。
「恋してみたとて 一夜の花火」です。
傭兵は、もう次の日には、アルジェを出て行き、次の戦場へと向かいます。
明日はチェニスか モロッコか
泣いて手をふる うしろ影
外人部隊の 白い服
『カスバの女』がつくられたのは、1955年のようですが、ヒットしたのは、10年以上経った1967年だそうで、 私がこの曲を知ったのは、その後のことだったと思います。
なぜか忘れがたい曲になっているのは、この歌の謎めいた雰囲気が子供心にも印象的だったのと、小学生の頃、よくテレビでアルジェリアの動乱が報じられていたせいかもしれません。
アルジェリアは、1962年に独立してからも、混乱が続いたようです。ベンヘッダとか、ベンベラといった政治家の名前が繰り返し出ていたように記憶しています。