少し前のことになりますが、「福田川クリーンクラブ」の展示を見せていただいたことがありました。
福田川は、主に垂水区内を流れている川です。水質には課題がありますが、下流を中心にさまざまな魚が棲息しています。
下の写真は、新種のヨシノボリです。ヨシノボリにもずいぶんたくさんの種類があるようで驚きました。
下の写真は在来種のナマズです。関東の霞ヶ浦などは外来種のナマズが席巻しているようですが、神戸では在来種が主流とのことで、まずは安心しました。
市長になりたてのころ、若手職員から、
「生物多様性やイノシシ対策など、市長の趣味に振り回されて、職員はほとほと困っています」
と言われ、悲しくなったことがありました。
自分の説明不足のせいなのですが、私は、生物多様性を保全し、回復していく営みは、個々の在来種の保護といった次元を超える、大切な課題だと考えています。
生態系は、気が遠くなるほど長い時間の経過のうちに、それぞれ独自の進化を遂げ、創り上げられてきました。微妙なバランスの中に成り立っており、そこには、人間の知見では解明できない、未知の世界や謎が存在しているはずです。
異種の持ち込みなど、生態系への敬意や畏怖を欠いた行為を人間が繰り返すなら、映画『もののけ姫』において表現されているように、大きな災いが人間界にもたらされることでしょう。
そのような愚行を避け、人間が、自然界における時間の経過の中で生かされているという意識を常に持ちたいと願います。
このような抽象的な説明では、なかなか理解してもらえないかもしれませんね。
共鳴していただける市民のみなさんのお知恵をいただきながら、どうすれば理解を広げていけるのかを含め、考え、行動していきたいと思います。
11月9日に、 生物多様性シンポジウム を開催しますので、ご参加をお待ちしています。