久元 喜造ブログ

自治体における複式簿記の導入

先頃、神戸市の平成25年度決算見込みを発表しましたが、自治体の決算と関連する大きな運用改正が、総務省から示されています。
複式簿記の導入 です。

複式簿記は、民間企業にあっては常識で、その法的根拠は、会社法、法人税法に規定されており、明確です。
たとえば、法人税法の体系では、青色申告法人は、「その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づいて決算を行なわなければならない」(法人税法施行規則53条)等とされて います。

一方、地方自治体の財務会計制度は、地方自治法で規定されていますが、現金主義に基づく予算、決算の制度となっています。現金主義の会計方式が単式簿記を前提としていることは明らかです。
民間企業の考え方をみても、複式簿記は正確な決算を行うためにあるのであり、自治体に複式簿記の導入を求めるのであれば、予算、決算制度を発生主義に変更する改革と一体として行われるべきではないでしょうか。
今回の複式簿記導入の根拠は、局長通知ですが、 自治体にとっては大きな運用の変更になりますから、本来は、一片の通知で行うのではなく、制度改正によって行われるべきです。

制度改正に当たっては、選挙中の 2013年10月1日のブログ でも記しましたように、財政に対する民主的統制の要請との関係をどう考えるかを含め、論点は多岐にわたり、奥行きの深い議論が必要です。
なかなか簡単ではないとは思いますが、総務省のみなさんには、自治体からの疑問に答え、制度改正への道筋を示すことができるよう、頑張っていただきたいと思います。