久元 喜造ブログ

高層タワーマンションと大都市の未来

7月16日のブログ でも取り上げましたように、福岡との人口の逆転も見込まれる中、神戸の人口を増やす方策を考えていくことは必要です。
ニュータウンや農村地域の人口減が続く一方、人口増をもたらしている要因のひとつが、中央区などで増えている高層タワーマンションです。
そこで、庁内には、神戸の人口増を図っていくためにも高層タワーマンションの建設を歓迎する向きもありますが、このような方向は正しいのでしょうか。

マンションの中にはファミリータイプのものも多く、おおむね20階以下のマンションにはこのタイプも多いようです。しかし、20階を超える高層タワーマンションの住人は、一人暮らし、あるいは夫婦だけの世帯が多いのが特徴です。
各住戸は遮蔽性、密閉性が高く、互いの交流も少ない上、PTAなどを通じて地域と関わることも少ないと言われます。区役所の担当者からは、地域活動への参加も低調という傾向も、指摘されています。東遊園地のイベントに対しても、「うるさい!」との苦情が寄せられるとのことです。

とくに中央区では、高層タワーマンションが商業地域で数多く建設されていますが、本来、商業業務施設の立地が想定されている地域で、巨大な閉鎖的居住空間が広がっていることが、商業活動や人々の交流、回遊性にどのような影響を与えているのかについては、検証が必要かもしれません。
また、マンションに限らず高層建築物が増えていることが神戸の景観にどのような変化をもたらしているのかについても、さまざまな見方があることでしょう。

高層タワーマンションが聳え立つ街が30年、40年後にどのような姿になっているのか、想像をめぐらしていく必要がありそうです。
都市の活力、都心におけるまちづくり、「顔の見える地域社会」の観点などを含め、都市の未来像をしっかりと描きながら議論していくことが求められます。