久元 喜造ブログ

助役から副市長へ。

市のナンバー2である副市長は、以前は、助役と呼ばれていました。
助役の名称が副市長に代わったのは、2006年(平成18年)の地方自治改正によってです。
この改正は、第28次地方制度調査会答申 に基づくもので、私は、答申と法案作成の両方に関わりました。
名前が変わっただけではない、意味のある改正だったと思います。

この改正では、まず、都道府県の出納長と市町村の収入役が廃止されました。
収入役は、市制町村制(1888年制定)で設けられた由緒ある制度でしたが、完全に時代遅れになっていました。
副知事と副市町村長については、定数は条例で自由に定められるようになり、その職務として、政策と企画をつかさどることが加わりました。さらに、知事や市町村長の権限を副知事や副市町村長に委任し、自らの権限として行使できることが明記されました。
このように、この改正の目的は、個々の地方自治体が置かれている多様な状況に応じて、また、知事や市町村長の判断によって、もっともふさわしい方法でトップマネジメントの強化を図ることにありました。

たとえば、市長の権限の相当部分を一人の副市長に委任し、いわゆるシティマネージャーのような役割を果たしてもらうことです。この場合には、日常的、実務的な事務は一人の副市長に大幅に委ねられることになり、長の役割は、より高次で政治的、対外的なものが中心になります。
もちろん、複数の副市長を置き、分担して事務を担当することも考えられます。我が国の大規模な自治体の状況を見れば、こちらの方が常識的ですし、実態に合っていると思われます。
複数の副市長を置く場合にあっては、タイプの異なる有為な人材を起用するとともに、市長を交えた会議を恒常的に開いて情報を常に共有し、チームとして一体的・戦略的に自治体経営にあたるという姿勢が大切だと思います。