久元 喜造ブログ

「特別自治市」について①(広域調整機能)

フェイスブックに、
「特別自治市は、県なり、関西広域連合なり、道州制と、それぞれどのように相容れる、又は相容れないものなのでしょうか?」
という質問をいただきましたので、簡単に、自分の考え方を記したいと思います。

「特別自治市」の構想は、指定都市市長会が提唱している大都市制度改革のプランで、人口規模の大きな市が都道府県の事務をすべて行うことができるようにする制度です。
「特別自治市」は都道府県の外に置かれ、一層制の自治制度となります。

府県と指定都市の融合一体化であるという点では、「大阪都構想」と目的を同じくしていますが、「大阪都構想」では府県が指定都市の機能を併せ持つ形で融合一体化が図られるのに対し、「特別自治市」構想では、指定都市が府県の機能を併せ持つ形でその実現を図ろうとします。
「特別自治市」制度が実現すれば、二重行政はほぼ完全に解消されます。

「特別自治市」構想に対しては、全国知事会をはじめ都道府県側は懸念を示してきました。
その理由は、広域調整機能の低下や人口・経済が集中する大都市に道府県税が移管されることによる都道府県財政へのマイナスの影響、ひいては、大都市以外の市町村における行政サービスの低下などです。

きょうは、広域調整機能との関係についてお話ししますと、確かに「特別自治市」が都道府県から「独立」することによって、一見弱まるように見えますが、現行制度の下においても、三大都市圏においては、都道府県を超える広域行政機能の強化が求められているのであり、改めてそのあり方が問われているのが現状です。
こうした見地からは、首都圏においては少なくとも横浜市を、また近畿圏においては神戸市と京都市を、広域行政の担い手、重要アクターとして真正面から認知し、その上で、首都圏、近畿圏を単位とした広域行政の構築を図ることが、現実に広域調整機能を発揮する上で効果的だと考えます。

近畿圏においては、近畿圏を越える地域を対象として、関西広域連合が設立され、大阪市、神戸市、京都市、堺市は関西広域連合にすでに加入しています。
実効的な広域行政を展開するためには、現行の指定都市制度の下において都市としての発展を図ろうとする堺市は別として、神戸市と京都市が「特別自治市」としての立場を獲得し、大阪市解体後の大阪府、兵庫県、京都府、和歌山県、滋賀県などとの広域連携の途を探ることの方が、広域調整の実効性を高めることができるのではないかと考えます。

少なくとも、関西広域連合との関係を見ても、また、将来、道州制が導入された場合においても、指定都市を解体して特別区に分解する「大阪都構想」よりも、「特別自治市」構想の方が、親和的であることは明確です。

もちろん、道州制導入の是非は、大都市制度との関連を超えて、幅広い観点から議論される必要があることは言うまでもありません。