文藝春秋9月特別号に、前財務官・神田眞人氏の論稿『日本はまだ闘える』が掲載されています。
神田氏が座長を務められた「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋懇談会」の結論が、冒頭に示されます。
「このままでは、本当に厳しい。努力しなければ、かなり悲惨なことになりかねません。
でも、頑張れば未来が、開ける。
まだまだ日本は闘える。日本人は強い。
ちょっと当たり前の努力をすれば、もっと幸せになれる。次の世代を安泰にできる」
「懇談会」では、「国際収支のレンズを通して」日本経済の課題と対応策が議論されました。
例えば、貿易収支は赤字基調である一方、第一次所得収支、すなわち日本人や本邦企業が保有する海外資産からの利子収入や配当などは増えています。
日本企業は海外事業を拡大し、直接投資収益の増加が顕著ですが、その多くは海外での事業拡大に再投資され、対照的に、国内での設備投資は長らく停滞しています。
また、海外からの対内直接投資は著しく低い水準で推移しています。
これらの課題にどう対処するのか。
懇談会では、「この数十年、日本では当たり前の競争、当たり前の資本主義が機能してこなかったことに根本的な問題がある」との認識の下に、前に進めるべき「普通の政策」が示されています。
その上で神田氏は、「残された時間は少ないですが、改革を確実に実施し、市場経済のダイナミズムを強化すれば、競争力のある日本経済を取り戻すことは十分可能です」と結んでおられます。
神田氏には、この9月から神戸市顧問として、グローバル経済の中での神戸市としての経済戦略について、大所高所からご助言いただけることになりました。
心より感謝申し上げます。