久元 喜造ブログ

私も条文を間違えました。②


今から振り返れば、法案の内容や分量にもよりますが、限られた職員で膨大な条文作成の作業をノーミスでやりきるのはかなり無理があるように思います。
大きな法案になれば、「タコ部屋」と呼ばれるチームが編成されて省内から若手の精鋭が集められ、それこそ狭い部屋に押し込められて深夜まで、ときには徹夜で作業にあたります。
とはいえ、条文作成に当たるのは、課長補佐と事務官などごく少数の職員です。
通常の法案では、ほかの課室から応援を受けることはほとんどありません。
そして条文ができれば、法制局の審査を受けることになりますが、法制局審査も基本的に参事官と事務官の二人が担当します。
もちろん法案を所管する課長も法案作成作業に関わりますが、課長以上の幹部職員の関与は法案の内容に関する検討が主で、個々の条文については課長補佐以下の職員と法制局審査に委ねるのが一般的です。
課長以上の幹部が関わるのは、「各省協議」と呼ばれる他府省との協議が難航したときに折衝に入るのと国会議員各位との調整です。

今まではこのような態勢とやり方で何とか回っていたのですが、いよいよ限界に来ているのかもしれません。
少人数の職員で完璧な条文を作成するのは、法案の内容が複雑で分量がある場合にはそもそも無理だと思います。
現在は、手続きが終わった後に条文をホームページに掲載していますが、これでは私が経験したように、そこで間違いが指摘されれば万事休すです。
いっそのこと国会提出前に公開し、広く国民にミスがないかチェックしてもらうことにしてはどうでしょうか。
とくに法律の研究者や学生のみなさんに協力を求めるのは、双方にとって意義があるように思います。