久元 喜造ブログ

朝日新聞社説「強行」処分批判に答える。⑤


前回
分限・懲戒処分は、事前審査手続きを経ることなく、任命権者の判断と責任で行うというのが、地方公務員法の立法趣旨です。
分限懲戒審査会を任意で設けるにしても、その意見はあくまでも参考です。
しかも、今回の審査会の見解は、条例の規定を適切に解釈したものとは言えず、法律論としても説得力を持ちません。
私がそのように考える根拠については、神戸市のウェブサイト で公表しています。
神戸市教育委員会における分限処分決定に関する市長コメント

朝日社説は、審査会の見解は「まっとうな指摘」とし、私がこの声明を出したこと自体を批判しますが、市長が見解を表明することは許されるのではないかと思います。
上記コメントがおかしいのであれば、ご教示いただきたいと思います。

加害教員は、神戸市の職員です。
もし仮に、審査会の意見を尊重し、今回の処分を行わなかったとしたら、その理由を問われた関係職員は「審査会が決めたことです」と答えたでしょう。
そんな答えに市民は納得したでしょうか。
処分については、これを行った任命権者、神戸市教育委員会がその理由をしっかりと説明しなければなりません。
それが行政としての説明責任です。

かつて地方公務員法案の審議で、鈴木俊一政府委員は「事前審査の制度は、・・・責任を委員会に転嫁いたしまして、真に利益を保障するゆえんでない」と答弁しています。
職員の不祥事の責任を他人のせいにしてはいけない ― そんな思いで先人は地方公務員法案を立案したのだと思います。
今回は、そのような無責任な事態を回避し、教育行政の混乱を防ぐ上で最低限の対応をすることができました。
私は、これで良かったと考えています。(つづく