久元 喜造ブログ

朝日新聞社説「強行」処分批判に答える。⑥


前回
朝日社説は、今回の条例改正を「急ごしらえの規定」で、「1週間で手続きが進んだ」ことを批判します。
教育行政の現場が大混乱に陥り、行政運営にも支障が出かねない事態を前にして、自治体関係者には迅速な対応が求められたのは当然のことではないでしょうか。
腰をすえて」という朝日社説の主張は、自治体現場の窮状に思いを致さない机上の空論です。
また、今回の条例改正は、確かに短期間に実現しましたが、ずさんな内容であるとは思いません。
私も連日朝4時に起きて地方公務員法の規定や解説書を読み込み、議会の審議に耐えられるかどうかを十分吟味して立案し、条例改正案として議会に提出しました。

特に気を配ったのは、地方公務員法との関係です。
分限休職の事由は条例で追加することができ(法27条2項)、その要件は規定されていませんが、分限処分が身分保障の例外であることを考えれば、条例で追加することができる事由は無限定ではなく、自ずから制約があると考えるべきです。
法律では、分限休職の事由として「刑事事件として起訴された場合」(法28条2項2号)が規定されており、条例で許容されるのはこれに近接する場合であると考えられることから「起訴されるおそれ」を要件としました。
そして、分限処分が公務能率の確保を図ることを目的としていることから「引き続き職務に従事することにより公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれがある場合」と限定的に規定しました。
このように、今回の条例改正規定は、明白な立法事実を根拠とし、職員の身分保障の重要性にも十分配慮しており、法律との関係においても問題のないものであったと考えます。(つづく