(前回)
朝日社説は、神戸市の分限懲戒審査会の見解、すなわち「職員に重大な不利益を及ぼすだけに、正確な事実認定と厳格な判断・解釈が必要。そうした判断は懲戒処分として行うべきだ」の部分を引用し、「まっとうな指摘」と共感を示します。
もちろん加害職員に対する懲戒処分は、必ず行われる必要があります。
そして懲戒処分は、職員個人に対する責任追求であるだけに、朝日社説が指摘するとおり、一人ひとりの職員に関する「事実認定」が必要です。
懲戒処分に当たっては、処分対象となる事実、動機、態様、故意・過失の度合い、職員の職責と非違行為との関係、社会的影響、反省の態度などを勘案すべきであるとされており、処分を行うまでには一定の期間が必要とされるのが通常です。
とくに今回の事案については、事案の特異性、社会的影響の大きさなどを勘案し、外部の有識者から成る調査委員会を設置し、その調査を踏まえて処分を行うこととしました。
調査委員会には、年内を目途に調査結果を明らかにしていただきたいと願っています。
問題は、懲戒処分が行われるまでの間、加害教員が職務に従事し、あるいは従事しうる状態に置かれ、給与を支給し続けることが適切なのかということです。
このような事態を回避するためには、分限処分である休職にすることが不可欠でした。
分限処分 と 懲戒処分 は目的を異にしており、 同じ事実に対して両方の処分を行うことは法律上可能 です。
朝日社説の「懲戒処分として行うべきだ」という主張は、分限処分を排除する理由にはなりません。
将来懲戒処分が行われることを理由にして現状を放置することは、とうてい許されない事態でした。(つづく)