久元 喜造ブログ

高層タワマンが林立する都市をめざすべきだろうか。


高層タワーマンションのあり方に注目が集まっています。
都心居住へのニーズは強いものがあり、高層タワーマンションの立地を厳しく規制することは、適当ではないし、現実的でもありません。
しかし、人口増加を図るために、都心など極めて狭い地域にタワマンを林立させるという政策は、とるべきではないと思います。
特定の地域への極端な集住は、災害時への対応を困難にする可能性がありますし、将来一気に街の老化が進み、予想を超える困難な事態が現出するおそれもあります。

また、そのような政策は、神戸のこれまでの歩みや都市としての特性から見ても適切とは言えません。
神戸は、戦前から鉄道網が発達してきた便利な都市です。
西日本で最も早く鉄道が走り、国有鉄道だけではなく、今の阪急電鉄、阪神電鉄、山陽電鉄、神戸電鉄の各私鉄が戦前から運行されてきました。
戦後は、地下鉄・西神山手線、海岸線が開業し、ポートライナー、六甲ライナーが自動運転で海上文化都市との間を結びます。
沿線にはバランスのとれた形で市街地が形成されてきました。
これは、神戸という大都市の貴重な財産です。

そのような都市としての歩みを無視して、都心に人口を集住させる都市政策をとれば、我が国全体が人口減少時代を迎えている中、沿線人口の減少、鉄道事業の採算性の悪化、鉄道の利便性の低下、さらなる沿線人口の減少という悪循環を招く恐れがあります。
何十年後かに、都心が一気に老化し、郊外が過疎化し、荒廃するという事態は悪夢です。
神戸は、人間らしい都市を目指したいと思います。
便利な公共交通網のインフラを活かし、バランスのとれた、持続可能な街づくりを進めていくべきではないでしょうか。