久元 喜造ブログ

淡河の民話「降りが淵の河童」

「北区の魅力」中学生ショートムービー発表会に行った時、市立神港高校の先生から 『淡河の民話』 をいただきました。
この本は、北区淡河町で語り継がれる民話を題材にして、神港高校情報処理科3年生のみなさんが制作した絵本です。
神港高校情報処理科の先生と生徒たちは、中学生がつくったショートムービーの制作にもいろいろと指導をいただいています。
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題字は、神港高校校長の古溝茂先生です。

タイトルは、 「降りが淵の河童」。
むかしむかし、淡河に働きものの「だんな」がいて、朝から晩まで たんぼを耕し、お米をつくっていました。
ある日、「くだりがふち」からのぼってきた男が立っていて、「草取りをするから家にとめてくれんかのう」というのです。
男に草取りをさせると、その仕事のはやいこと。
「だんな」は、男をやとって働かせることにします。
男は、おひさまが出るまえからはねおき、夜おそくまで働きました。自分の仕事が終わると、近所の仕事もてつだいました。
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3年がたったころ、むらではおかしなうわさがたつようになります。
「あのおとこは どうも にんげんではないぜ。きっと『かっぱの かわたろう』だぜ。
かわいそうに あのだんな おしりから ちをすわれて あのおとこに ころされてしまうだよ」

「だんな」は男を疑いはじめ、かっぱが『おがら』でできた箸でめしを食うと死んでしまうという話を聞き、そうすることにします。
次の日、男は起きてきませんでした。かわいそうに、つめたくなっていました。

「だんな」は嘆き悲しみ、盛大な葬式をあげ、「くだりがふち」に石碑をたてました。
「だんな」の家族は、毎年、おぼんになると、『おがら』の箸で食事をし、天国のかっぱのしあわせを願ったそうです。
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淡河の人々の、やさしい心が伝わってくるお話です。