2017年6月25日
から 久元喜造

安倍総理「外国人にとり住みやすい街を」


昨日は、安倍晋三総理大臣が神戸にお越しになり、午前中は、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(CDB)を視察されました。
まず、松本紘理事長、濱田博司CDBセンター長、江藤浩之京都大学iPS細胞研究所副所長から、理研の研究概要やiPS細胞などを用いた再生医療、創薬の取組みについて説明を受けられました。
続いて、研究室に移動、網膜再生医療研究開発プロジェクトの髙橋政代プロジェクトリーダーから、iPS細胞を用いた臨床研究の進捗状況について、顕微鏡も覗かれながら、説明を受けられました。

その後、意見交換が行われましたが、私からは、神戸アイセンター の整備についてご報告いたしました。
安倍総理は、再生医療や創薬について幅広い知識と強いご関心をお持ちで、質問も多岐に及びました。
また、海外から優れた人材を我が国に招くことの重要性を指摘され、理研における海外からの研究者の在籍状況などについても質問されていました。
私に対しては、「外国人にとって神戸が住みよい街になるよう取り組んでください」と励ましてくださいました。

2年前、ブリスベンで開催された「アジア太平洋都市サミット」に参加したときに強く感じたことですが、アジア太平洋地域の大都市は、優れた人材をいかに呼び込んでいくのかについて強烈な問題意識を持っています。
骨太方針2017」にもあるように、「企業における職務等の明確化と公正な 評価・処遇の推進、英語等でも活躍できる環境など就労環境の整備」とともに、自治体自身もしっかりと取り組んでいかなければいけないという思いを改めて強く持ちました。


2017年6月22日
から 久元喜造

街を明るく灯す。


いろいろな意味で街を明るくすることは、大切です。
私は、これまでも、地下鉄のホームの照明を明るくするとともに、市役所についても、エレベーターホールや廊下の照明を、電力消費量に与える影響を慎重に勘案しながら、明るくすることにしました。(2015年5月3日のブログ

街を明るくする上で大事な取り組みが、防犯灯の適切な管理です。
公道の防犯灯は神戸市が管理し、私道の防犯灯は地域で管理していただいていますが、両者がしっかりと連携し、電球が切れている電灯があれば、速やかに交換することが大切です。
また、防犯灯が設置されていないために夜の闇が広がり、防犯上問題がある箇所がないか点検し、必要があれば、新たに防犯灯を設置することが求められます。

少し前になりますが、長田区真野地区で、建設局西部建設事務所が中心になって、地域のみなさんといっしょに街を歩き、防犯灯の点検を行う機会があり、私も参加しました。
夜の7時45分に、東尻池公園を出発、東尻池町、浜添通、苅藻通を回りました。
LEDに替えた防犯灯の近くでは、路上が格段に明るいことがよくわかりました。
街を歩きながら、空き家の状況、街並みの変化など真野地区の課題についてもいろいろと教えていただきました。
熱心に地域活動が行われていることがよくわかりました。

市内には、自治会など地域の活動が停滞しているところもあり、そのような地域では、防犯灯の管理が適切に行われていないように思われます。
地域で何が起きているのか、区役所や建設事務所などを通じて本庁においても把握し、住民のみなさんの参画をどのように進めていくのかが問われます。


2017年6月19日
から 久元喜造

地下鉄海岸線・中学生以下は無料に。


7月から地下鉄海岸線で、中学生以下を無料にする社会実験が始まります。(利用方法
バラマキではないか、という批判がありうることを知りつつ、どうしてこの社会実験を始めたのか、記したいと思います。

地下鉄海岸線は、約2350億円の巨費を投じ、2001年に開業しました。
建設当時の予想乗客数は、1日当たり、13万8000人を見込んでいました。
それが、平成27年度の乗客は、4万5000人にとどまっています。
当然のことながら、膨大な赤字が続いています。

つくらない方がよかったという声もたくさんありますが、今さらそんなことを言っていても始まりません。
とにかく乗っていただくことが重要です。
海岸線の沿線には魅力的なスポットがたくさんあります。
子供たちに、そのような場所を巡って、楽しんでほしいと願います。
願わくば、沿線に住んでみたいという方が少しでも増えてほしいです。
また、子供連れのご家族で海岸線に乗り、街を回遊するみなさんが増えれば、地域の活性化にもつながります。

大事なことは、巨費を投じてつくられた貴重な社会インフラをどんどん使うという視点ではないでしょうか。
新しく社会インフラをつくることも大事ですが、インフラの整備が進んできた今日、それらをどう活用するかが問われています。
子供重視の視点に立った、インフラ活用の社会実験です。
実験に伴う減収見込みは、今年度、約1100万円です。

収支の根本的な改善のためには、沿線の需要喚起策が重要で、市街地西部の活性化策を引き続き実施していきます。


2017年6月16日
から 久元喜造

「町村総会」という選択。


町村総会。
住民が直接参加し、議論を交わし、自ら決定する―ある意味、自治の原点なのかもしれません。
1950年代に八丈島の旧宇津木村で設置されて以来、設けられたことはありませんが、最近、高知県大川村がその検討を始めたことが報じられて以来、俄かに注目を集めています。

しかし、大川村が町村総会を導入しようとするのは、「議員のなり手不足」。
本来、積極的な意味が見いだされるべき直接民主制導入の理由が「議員のなり手不足」というのは、正直、残念です。
そうであっても、村がそのような意向であるならば、地方自治制度を所管する総務省は、村が町村総会を円滑に導入できるよう、前向きに対応することが求められます。
そして根本的には、多くの住民が議員になりたいと考えるようになる環境を整えることです。

この点について、総務省が「総会の設置・運営の問題点などについて洗い出しを進める方針」(読売新聞6月13日)を打ち出したことは、時宜にかなった対応と言えます。
総務省は、さっそく有識者による研究会を7月に設けることとし、「①町村総会を弾力的に運営する方法 ②夜間・休日議会の開催など議員のなり手を確保するための工夫 ③町村議員の選出方法―といった過疎に悩む町村議会の課題を話し合う」(朝日新聞6月14日)と報じられています。

制度官庁としての使命感に基づく、素早い対応だと評価できます。
住民が議会のあり方をただ批判しているだけでは、問題は何も解決しません。
議会への住民の主体的な参画が進むよう、今後の検討に期待したいと思います。


2017年6月14日
から 久元喜造

「かかりつけ医」の役割


「かかりつけ医」とは、具合が悪くなったときにいつも診察してもらう、基本的には一人の医師の先生のことを指します。
あちこちの医師に診てもらうよりも、決まった「かかりつけ医」の方が、体質や持病などが頭に入っていますから、適切な治療を受けられる可能性が高くなります。
病気の早期発見につながる可能性も高いと言えます。

国は、国民ができるだけ「かかりつけ医」を持ち、その紹介状を持った患者さんが大きな病院で診察を受けられる方向を目指しています。
風邪などの軽い症状の患者がこぞって大病院を受診すると、重症の患者さんへの医療を担う大きな病院が適切な医療サービスを提供できにくくなってしまうからです。
こうした見地から、平成28年4月、国の制度が見直され、医師からの紹介状を持たずに、病床数500床以上などの大きな病院の診察を受けると、加算料金を支払うとされました。

「かかりつけ医」の紹介状があれば、たとえば、神戸市中央市民病院を受診する場合、初診時の加算料金(医科:5,000円、歯科3,000円)はありません。
また、これまでの治療経過や検査データがわかり、スムーズな診療ができますし、「かかりつけ医」からFAX予約をしてもらうと、来院時に専用受付で受付を済ませて、短い待ち時間で受診できます。

いざという時に、どこの病院のどの診療科にかかればよいか慌てないためにも、日頃から何でも相談できて、自分の身体の状態を把握してくれる「かかりつけ医」を見つけておかれることをお勧めします。


2017年6月11日
から 久元喜造

神戸大学交響楽団サマーコンサート


家内が灘区内のパティスリーでチラシをいただいたことから、神戸大学交響楽団サマーコンサートのことを知り、今夜、神戸文化ホール・大ホールにお邪魔しました。
プログラムは、ベートーベンの「エグモント序曲」、チャイコフスキーの交響曲第4番、シューマンの4番です。
指揮は、1曲目が小川拓人さん、2,3曲目が藏野雅彦さんでした。

客席に着いて目に入ったのが、少し変わった弦楽器の配置です。
多くの場合、向かって右側に、チェロとコントラバスが陣取るのですが、きょうは、第1ヴァイオリンの右隣にチェロ、その後ろにコントラバスが配置され、第2ヴァイオリンは、右側に配置されています。
休憩時間に、音楽通の方から「対向配置」と呼ばれるタイプなのだと教えていただきました。

初めてのオケなので、耳をそばだてて、最初の音を待ちました。
バランスのとれた響きで、「エグモント序曲」が始まりました。
シューマンの4番は、大好きな曲です。
少し個性的な響きで、序奏が始まりました。
曲が内在しているエネルギーを抑えようとせず、むしろ開放し、大きな表現力でシューマンの世界を示そうとしているように感じられ、そのようなアプローチは、とりわけ第3楽章、そして第4楽章の後半で成功しているように感じました。

チャイコフスキーの4番は、まさに圧巻でした。
音楽はダイナミックに、それでいて美しく流れ、豊かな響きとともに、特有の憂愁も聞こえてきました。
第1楽章が終わった後、緊張感に満ちた静寂が会場を包み、聴衆の反応を象徴しているように感じました。

アンコールは、ハチャトリアンの「仮面舞踏会」からワルツ。
神戸大学交響楽団がその大きな存在感を示した、素晴らしいコンサートでした。


2017年6月8日
から 久元喜造

松宮宏『まぼろしのパン屋』


神戸ゆかりの作家、松宮宏さんの作品です。
3編の短編小説が収められています。

『まぼろしのパン屋』の主人公、高橋は、勤続33年の電鉄マン。
東京郊外のつきみ野に住み、田園都市線で通っています。
出世コースとはほど遠いサラリーマン人生を歩んでいましたが、「茨城沼」の開発スキャンダルで財務部長が更迭され、その後任に抜擢されます。
そんなある日、電車の中で、見知らぬ高齢の女性から「しあわせパン」と店名が印刷された白い紙袋をもらいます。
不思議なことに、車両には、高橋と女性のほかは誰もおらず、貸し切り状態。
紙袋のパンにかぶりついた高橋は、その旨さに驚愕し、店を探し出し、そこから謎めいた展開が始まります。

『ホルモンと薔薇』の舞台は、元町高架下のホルモン焼きのお店です。
花隈病院の大腸外科医、村岡久雄は、6件の開腹手術をこなし、こうつぶやき、ホルモンに舌鼓を打つのです。
「人間の腸ほど美しく、麗しい景色はない」
カウンターには、先客、神戸中央郵便局営業課長、武藤則夫がいました。
次々に、個性あふれる神戸人が登場し、ひったくり事件も発生して、最後は、千を越える真っ赤な薔薇があふれて、大団円を迎えます。
映画を見ているような、ダイナミックで、それでいて人情あふれる佳品でした。

『こころの帰る場所』は、姫路が舞台、そして今度は姫路おでんが登場します。
「シケた愚連隊(ヤンキー)」の物語です。
紆余曲折を経て、ヤンキーたちは、再生の道を歩み始めます。

もしも居酒屋のカウンターで、ホルモンやおでんをつつきながら本書を読んだら、さらに至福の時間を送れたことでしょう。


2017年6月3日
から 久元喜造

蘇った「淡河宿本陣跡」


淡河宿本陣跡」は、「道の駅淡河」のすぐ北、旧湯乃山街道に面した由緒あるお屋敷です。
主屋は明治時代、茶室などは江戸中期の建築という歴史的な建物です。
しかしながら、50年近く利用されず、老朽化が進んでいました。

この「淡河宿本陣跡」を再生させようと立ち上がったのが、地元淡河町のみなさんでした。
「一般財団法人淡河宿本陣跡保存会」が組織され、土地、建物を譲り受け、再生のための取り組みをスタートさせました。
神戸市も、規制緩和や改修費などへの補助などの支援を行いました。
試行錯誤やご苦労を経て、改修工事を行われ、5月28日にお披露目会が開催されました。

当日は、保存会の代表理事、村上隆行さんから、これまでの経過についてお話がありました。
いかに荒れ果てていたのか、そして、地元の中学生を含む地域のみなさんが参加され、地域外からの支援も得て、再生に至った過程を知ることができ、本当に感動しました。

続いて、淡河町の若手、片山美奈子さん、鶴巻耕介さん、武野辰雄さんから、日ごろの活動や農業、移住、地域に対する想いが披露され、私自身、元気を頂戴しました。

その後は、地元特産の山田錦で造られたお酒の鏡開きに始まり、地域の女性のみなさんが腕をふるわれたお惣菜やおにぎり、スイーツなどを堪能しました。

また、火入れをしたかまどで炊いた炊き立てのごはんといっしょにおこげもいただきました。
これも格別な味でした。

今後、この施設は、地域の交流施設として活用されます。
蘇った「淡河宿本陣跡」は、豊かな歴史を今に伝えるとともに、未来への希望を紡ぐ場所として、時を刻んでいくことでしょう。


2017年5月31日
から 久元喜造

進化する神戸国際フルートコンクール


5月25日から、第9回神戸国際フルートコンクール がスタートしています。
さまざまな意味で、これまでの過去8 回のコンクールとは違った形で展開されています。
小学生を含め本当に幅広い市民のみなさんが参加していただいていることです。
閉じられたコンクール会場のみならず、まちなかや駅なか、公園など、いつも行き来している場所が、非日常的なコンサート会場に早変わりし、フルートの音色に耳を傾けている姿が見られます。

さる5 月28日には、大丸神戸店と神戸市との共催により、大丸神戸店東側の明石筋をフリーウォークにして、「フルート300人アンサンブル」が開催されました。
フルートの音色に魅せられた、最年少8歳から最高齢84歳まで、310名のみなさんが参加されました。
NHK交響楽団首席フルート奏者、神田寛明先生の指揮により「ラデツキー行進曲」など3曲が、大勢の買い物客で賑わう旧居留地に響きわたりました。
これまでにない、まったく新しい試みで、このような素晴らしい企画を実行していただいたみなさんに心より感謝申し上げます。

さらに、今回のコンクールにおいては、コンクール出場者が小学校に赴いて演奏したり、まちなかでコンサートを実施するアウトリーチを開催しています。
世界を舞台に活躍するフルーティストによる生演奏体験は、未来ある子どもたちにとって、豊かな感性を育む貴重な機会になると信じます。
入賞者以外のコンクール出場者がコンクール開催都市で幅広く演奏の機会を持つことは、コンクールのありように一石を投じる試みです。


2017年5月29日
から 久元喜造

上田 早夕里『夢見る葦笛』


神戸ゆかりの作家、上田早夕里さんの作品を初めて読みました。
たいへん面白かったです。

10編の短編が収められています。
第1話「夢見る葦笛」は、老祥記の豚饅も出てきますが、街中にイソギンチャク人間-イソアが増殖していく不気味な物語です。
街中で美しい調べを奏でるイソアに魅了された人々は、やがてイソアに変わっていきます。
イソアが増え続け、親友までもがイソアへの変異に希望を託そうとするとき、主人公の亜紀は、イソアたちに対して壮絶な闘いを挑みます。
その先に破滅が待っていることを知りながら。

第2話以下でも、帯にあるように「誰も見たことがない、驚異に満ちた世界」が現出します。
片田舎を舞台にした呪術的異形の世界、人間の脳と人工身体の両方を持つシム、宇宙開発用人工知性など。

とてつもなく恐ろしい世界が描かれるのは、「滑車の地」。
地球上は冥海で覆いつくされ、そこには、泥棲生物、泥鰻、泥蠅、「人間の腕など簡単に切り落とす」泥鯱蟹、泥蛇など棲んでいます。
人間は、鋼柱の上の塔に追いやられ、滑車で移動します。
そして、次々に冥海に落下し、動物たちの餌食となるのです。

著者は、異形の世界のグロテスクを描きながら、その中で、もがき苦しみ、あるいは、未知の世界への希望を見出す人間の姿を描きます。
その心理は、驚くほど現代の私たちに近いものです。
途中までは、科学テクノロジーが行き着いた先にある「逆ユートピア」が描かれているように感じたのですが、そうとも決めつけられない複雑で不思議な世界が次々に現れ、興奮の連続でした。
想像力の無限の飛翔を感じることができた、豊かな時間でした。