久元 喜造ブログ

2018年6月18日
から 久元喜造

「有馬-高槻断層帯」に要注意


今朝の7時58分、大阪府北部を震源とするM6.1の地震が発生しました。
地震により亡くなられました皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
神戸市では、8時00分、神戸市災害警戒本部、各区災害警戒本部を設置し、災害への対応を開始しました。
北区で軽症者1名が発生し、救急出動したほか、エレベーターへの閉じ込めが7件発生しました。

気象庁の会見によると、震源のごく近くに「有馬-高槻断層帯」があり、この活断層の一部が動いたかどうかを今後解析するとしています。
「有馬-高槻断層帯」については、以前から承知しておりました。
熊本地震が起きる少し前に、地震に関するNHKスペシャルが放映され、番組の中で、熊本など九州南部で大きな地震が発生する可能性を指摘されていたのが、京都大学地震予知研究センターの西村卓也准教授でした。

私はたまたまこの番組を録画し、保存していました。
熊本地震が起きてしばらく経って番組を見、その的確な指摘に感銘を受け、西村先生に市役所で講演を行っていただきました。(2017年6月6日)
そして、西村先生が講演の中で指摘されたのが、「有馬-高槻断層帯」の存在だったのです。
西村先生の資料には「有馬-高槻構造線の地震は、国の長期評価では想定的評価は低いが(Zランク)、現在の地殻変動や過去の地震発生履歴から決して安心とは言えない」と書かれてありました。
今回の地震を踏まえると、西村先生は、再び的確な指摘をされていたことになります。

神戸市北部は、台風や豪雨などでたびたび崖崩れなどの被害が発生していることから、北建設事務所の人員増を図っていますが、来年度はさらに拡充するなど、対策を強化していきたいと思います。

 


2018年6月16日
から 久元喜造

百耕資料館「兵庫県第三区」展


少し前にことになりますが、板宿の「百耕資料館」で開催された企画展「兵庫県第三区~明治初期兵庫県の地方行政と住民~」にお邪魔しました。
同館では、板宿の旧家、武井家に伝わる歴史資料、美術資料が公開されています。
館の名称は、明治初期、兵庫県会議員などを歴任し、近代黎明期の地方行政にかかわった武井伊右衛門の雅号に因んで名づけられました。
武井家のご当主、武井宏之館長、森田竜雄主任研究員がご対応くださいました。

展示は、幕末における行政組織の説明から始まります。
代官、藩主は村を直接統治したのではなく、両者の間には組合村のような中間支配機構が存在しました。
組合村は、代官所などの行政を補うとともに、村々に共通の利益を代表する役割も併せ持ち、惣代庄屋を中心に村民の自治により運営されていました。
このような隣保共同の組織が、明治初期の行政組織に移行していく過程がよく理解できました。

1868年に第1次兵庫県が成立した後、翌年、県内に19の区が置かれると、板宿村と周辺の村々の地域は第3区となりました。
区には会議所が置かれ、区長は「入札」つまり選挙で選ばれました。

第3区に残されている「入札規則」では、自書署名捺印が要求され、白票は禁止されていました。
第3区では、惣代庄屋であった武井善左衛門(武井伊右衛門の父)が区長に就任しました。

幕末の地域リーダーが明治維新後の新制度の下で、公選職として選ばれていったことが窺えます。

近代日本の地方制度は、1878年に府県会規則などいわゆる三新法が制定されて基礎がつくられました。
今回の展示では、いわばその前夜にあたる過渡期の地方行政、自治の実態の一端に触れることができ、たいへん有意義でした。


2018年6月13日
から 久元喜造

犯罪被害者への支援を強化します。


犯罪により被害に遭われた方に対しては、社会全体で支援をしていくことが必要です。
国からの犯罪被害者等給付金制度などに加えて、神戸市では、平成25 年4 月に「神戸市犯罪被害者等支援条例」を施行し、犯罪被害者への支援を行ってきました。

このような中、平成9年に発生した須磨区の連続児童殺傷事件から20 年が経過し、改めて犯罪被害者への支援のあり方が問われています。
また全国犯罪被害者の会「あすの会」がこの6月に解散し、同会のみなさんの想いを引き継いでいくことが求められています。
こうしたことから、神戸市では 、現行の犯罪被害者支援方策を拡充することとし、一昨日に開会した神戸市会に、条例の改正案を提案することにしました。

今回の改正では、現行条例で規定している日常生活への支援策、すなわち「 一時的な生活資金の支給」「 一時的な住居の提供」「 雇用の安定及び確保」に加え、「 子どもの教育支援」 を追加することとし、これらの支援策を市の責務として行うことを明確化します。
また、犯罪被害者が各種行政手続を行う際の窓口の一元化など、プライバシー保護に努めることを市の責務として明記しました。

条例改正案を議決いただければ、具体的な支援策として、家庭教師の費用や通学時の送迎費用等に対する補助 、就労支援金、転居後の家賃補助を新設するとともに、 一時支援金の増額、市営住宅家賃の無償化などを実施します。
今回の改正により、神戸市の犯罪被害者の方々に対する支援策は、全国の自治体の中でもトップクラスの水準となります。
今後とも、犯罪被害者に寄り添った対応ができるよう取り組んでいきます。


2018年6月10日
から 久元喜造

不眠都市ロンドン


スコットランド出張の途中、ロンドンに一泊しましたが、ホテルの部屋が道路に面していて、車が通る音で目が覚めました。
時刻は、午前3時過ぎ。
せっかくの機会なので、寝るのはやめて、夜中のロンドンの路上を部屋の窓から観察することにしました。

そんなに大きな幹線道路でもないのに、頻繁に車が通っています。
トラックやタンクローリーはほとんど走っておらず、大半は自家用車のようです。
歩道には、4,5人の若者がぶらぶら歩いています。
かと思えば、一人の若い女性が自転車で通り過ぎて行きました。
最近、ロンドンの治安はかなり悪化していると聞いており、大丈夫か心配になります。
窓の下にはバス停があり、まだ午前4時にもなっていないのに、路線バスが到着しました。
結構、乗客がいます。

ロンドンの街は、夜中でも早朝でも、休むことなく活動を続けているようです。
週末には地下鉄の一部の路線で24時間運行が行われています。
まさにロンドンは、不眠都市と呼んでも良いでしょう。

ナイトタイムエコノミーの活性化が課題になっている神戸にとり、不眠都市ロンドンの姿は参考になります。
地下鉄の24時間運行は無理ですが、中心市街地の博物館、ミュージアムの閉館時間を遅らせたり(2017年11月24日のブログ)、飲食店などのお店には、もう少し遅くまで営業していただけるような環境づくりが求められます。

同時に人間にとり、覚醒と睡眠の健全なサイクルは必要です。
街全体を不眠状態にしていくことについては問題も多いことでしょう。
「夜」を豊かなものにしていく見地から、地域特性に応じた取り組みが求められるように感じます。


2018年6月7日
から 久元喜造

海洋産業分野でのスコットランドとの連携


今年は、震災後スタートさせた神戸医療産業都市が20周年を迎え、次世代産業として、航空機部品、ロボット、水素エネルギー分野の産業育成に取り組んでいますが、さらに先を見据えると、海洋産業クラスターの形成が魅力のあるテーマとして浮上します。
2年前から、北海油田があり、海底資源探査など海洋産業が発達している英国スコットランドとの連携をスタートさせました。 昨年2月には、スコットランド有数の海洋産業・人材クラスターを形成しているアバディーン市のジョージ・アダム市長が来神され、また、7月には、スコットランド国際開発庁と共催で海洋ビジネスに関するセミナーを神戸で開催しました。

このような成果の上に、さらにスコットランドとの連携強化の方策を探ることとし、神戸市から経済界、学界、市会の関係者から成る訪問団を編成して、アバディーンを訪問しています。
きょうは、午前中、アバディーン市役所を訪問し、クロケット市長との間で、海洋産業分野のビジネス交流や人材育成に関する意思確認書を交換しました。


続いて、ロバート・ゴードン大学で行われたセミナーにおいて、私から神戸における海洋産業クラスターのポテンシャルなどについて説明し、神戸大学、参加企業の代表者からプレゼンテーションが行われました。

初めてアバディーンを訪れましたが、神戸にはない知見、テクノロジーと戦略、人材の厚みがあることがよく分かりました。
スコットランドとの交流を深めながら、神戸における海洋産業クラスターの形成に向けて具体化を図っていきたいと思います。


2018年5月31日
から 久元喜造

「リーダーの本棚」に追加したい1冊


2年半ほど前、 日経新聞リーダーの本棚」に、私の読書歴を取り上げていただいたことがありました。(2015年9月20日朝刊)
見出しは、「近代が立体的に見える瞬間」。
日本の近代システムを創り上げていった政治家、官僚たちの群像、彼らを冷ややかに眺めていた永井荷風、さらにはプロレタリア文学、西洋音楽の摂取、大陸人脈の系譜などの視点を交錯させることによって、日本の近代を立体的に見ることができるのではないか、という問題提起でした。

このほど、日本経済出版社 から『リーダーの本棚』が単行本として出版されました。
各界の方々とともに、私のインタビューも掲載され、光栄に存じております。
この中で、『明治国家をつくる』(御厨貴著 藤原書店) を取り上げたのは、地方制度の整備と首都東京の建設が密接にリンクしていて、このことは、今日、地方創生と東京問題との関連に通じると感じたからです。

一方、我が国の近代化と経済発展には、神戸も大きく貢献しました。
神戸は日本を代表する国際港湾都市として発展していきましたが、同時に、労働問題や貧困など我が国の近代化の過程で露呈していった矛盾が噴出し、無産政党の活動も盛んでした。

火輪の海-松方幸次郎とその時代-』 (神戸新聞社編)には、松方の生涯を通じて、神戸の近代が鮮やかに描かれていますが、そこに描かれている大都市神戸の発展と混沌は、我が国近代の縮図でもありました。
日経新聞社からインタビューを受けたとき、本書を含めていれば、さらに「立体的」に我が国の近代を俯瞰することができたのではないかと改めて悔やまれます。


2018年5月27日
から 久元喜造

深井智朗『プロテスタンティズム』


ルターの「宗教改革」のイメージを根底から変えてしまうとともに、現代政治への示唆にも富む、刺激的な内容でした。
ルターは「プロテスタント」という新たな宗派を生み出そうとしたのではなく、カトリックの中での改革を試みた、という指摘から本書は始まります。
彼が批判したのは、贖宥状(免罪符)の販売でした。
贖宥状批判はローマ教皇や聖職者の経済的利益に関わり、政治的意味を持つに至ります。

聖書の解釈を最重要視するルターの主張は、当時の印刷技術の発展に支えられ、瞬く間に広がりました。
ローマ教皇はルターを破門にし、神聖ローマ皇帝カール5世は彼を異端と断じますが、問題はこれで解決せず、領主たちはローマ教皇、ルターのいずれの側に立つのかが問われることになりました。
ルターの死後、1555年、「アウクスブルク宗教平和」と呼ばれる決定が行われます。
領主が自分の領邦の宗教を決定できることになり、以後のドイツの各領邦は、「皇帝の古い宗教」(=カトリック)と、「アウグスブルク信仰告白派」(=プロテスタント)に色分けされていきました。

プロテスタントはドイツのみならず諸外国に広がり、そして枝分かれしていきます。
著者は、それら多様な動きを、「支配者の教会」と「自発的結社としての教会」に分かちます。
前者は、たとえばドイツ帝国において国教的役割を果たし、後者は、さらなる改革運動を各国で展開していったのでした。
このように、「プロテスタンティズムは、その後の歴史の中でさまざまな種類のプロテスタントを生み出し」ました。
複雑な内容がたいへん分かり易く説かれ、欧米近代史に対する鳥瞰図的理解を深める上でたいへん有意義でした。


2018年5月24日
から 久元喜造

葺合警察署「イノシシ」ポスターに拍手!


何日か前、新神戸駅前の 神戸芸術センター で開かれたリサイタルを聴きに行くため、阪急・春日野駅で下車、ぶらぶら歩きました。
その途中、掲示板に貼ってあったのが、イノシシへの注意を促すポスターでした。
このあたりでもイノシシが出没することを、改めて認識しました。

それにしても、このポスター、よく出来ていると感心しました。
「出た!」「いのしし」
とてもインパクトがあります。
イノシシが「危険な動物」だというメッセージが伝わってきます。

「絶対に追いかけない」
「エサは、やらないで」
市民への注意事項も明確ですし、「ぷぃ」と、ユーモアも感じられます。

「自然の動物は、自然のままに!!」
まったくそのとおりで、見識ある警告です。

このように、このポスターには無駄な言葉がなく、明確なメッセージや必要な情報が限られたスペースに盛り込まれています。
連絡先も、明記されています。
デザインなどから見て、ほとんどお金をかけていないと思われるのに、素晴らしい出来栄えです。
ひょっとしたら、署員の方の手づくりかもしれません。

デザイナーを入れて金をかけているのに、出来上がったものを見ると、きれいなだけで何が言いたいのかさっぱりわからない、というポスターやチラシもあるので、このポスターは大いに参考になります。

警察署のみなさんがイノシシ対策の面でも市民の安全に貢献していただいていることに、感謝申し上げます。
欲を言えば、神戸市の「有害鳥獣ダイヤル」(078-333-4408)についても記載していただければ最高でした。
神戸市関係部局と警察ご当局との連携を、さらに強化していきたいと思います。


2018年5月21日
から 久元喜造

崎谷明弘ピアノ・リサイタル


昨日の夕方は、「神戸まつりメインフェスティバル」の終了後、松方ホール で開催された、崎谷明弘さんのピアノ・リサイタルにお邪魔しました。
平成28年度神戸市文化奨励賞を受賞された若手ピアニストです。
プログラムに好きな曲が多かったこともあり、楽しみに伺いました。

前半は、ハイドンのピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:49 、そして、リストのロ短調ソナタです。
リストのソナタでは、目が眩むような技巧が圧倒的な迫力で繰り広げられましたが、崎谷さんは、決して力で音楽をねじ伏せようとはしません。
繰り返し反復される音楽の静まりもとても美しく、聴衆を魅了しました。

後半は、ドビュッシーの「喜びの島」に続き、 ベートーヴェンのピアノソナタ ト長調  op.14-2  をはさんで、シューマンの「フモレスケ」。
「フモレスケ」は、シューマンの情熱的な「フロレスタン」的要素、そして瞑想的な「オイゼビウス」的要素(シューマン『音楽と音楽家』)が交錯しますが、そのようなシューマンの音楽の魅力がこの上ない完成度で浮き彫りになった名演でした。
素晴らしい演奏に没入したリサイタルでしたが、プログラム全体を通して聴いた一愛好家の感想としては、ベートーヴェンのソナタが最も心に染み入りました。

今日のリサイタルは、高校生以下が無料で、小中学生と思しき姿もありましたが、聴き手は演奏に集中し、緊張感みなぎる濃密な音楽空間が現出しました。
崎谷さんのファンは確実に広がりを見せているようで、今後ますますのご活躍を期待しております。


2018年5月18日
から 久元喜造

マッキンゼー社のアジア拠点が神戸に。


既に報道されているところですが、昨日の 定例記者会見 でも申しあげたとおり、マッキンゼー・アンド・カンパニー のラーニングセンターが神戸に開設されることになりました。
同社は、申すまでもなく、世界を代表するコンサルティング会社です。
アジアでのコンサルティング業務が拡大している現状を踏まえ、香港やシンガポールなどの海外の大都市も視野に入れながら研修拠点の開設を検討されてきましたが、このほど神戸に決定しました。
米国、オーストリアに次ぐ、世界で3か所目の拠点となります。
拠点となるラーニングセンターは、ANAクラウンプラザホテルとホテル直結のオフィスビルのスペースの中に、約3,000平方メートルの規模で、今年の秋頃の開設が予定されています。

同社は世界中に約2,000人のコンサルタントを擁し、大体12カ月から18カ月に1回、1週間程度の研修が行われるとお聞きしています。
講師陣として、ビジネス、学界など約650名の多彩な方々が指導に当たられます。
世界中から優れた人材が恒常的に神戸に集まって来られることは、たいへんありがたいことです。
社内向けの研修拠点ではありますが、可能な範囲で、神戸の経済界、学界、行政関係者との交流や連携も模索していきたいと思います。

マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社は、学生のみなさんの就職先として抜群の人気があります。
今回の決定は、神戸のブランド力の向上にも資するところが大きいと感じています。
同社のみなさま、交渉をご支援いただきましたみなさまに、心より感謝申し上げます。