「バブル」と呼ばれた時代とその崩壊は、いったい何だったのだろうと、今でも想い起します。
本書は、バブルが崩壊した1990年代、時代を駆け抜けていった11人の人物を取り上げます。
それぞれの方々とつながりがあり、あるいは、注意深くウォッチしていた執筆者により、人物像と時代が浮き彫りされます。
そしてこの時期、神戸ではあの震災がありました。
本書では、島田誠氏により、草地賢一氏(1941 – 2000)の活動、人となり、想いが綴られます。
「神戸からボランティア元年を拓く」のサブタイトルが付けられています。
震災が起きた1995年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きました。
オウム真理教を擁護したと批判された、島田裕巳氏も取り上げられています。
私の仕事の関係で言えば、現在、全国でただ一つの財政再建団体、夕張市の市長を6期24年務めた、中田鉄治氏(1926 – 2003)の市政に関する記述も、興味深く読みました。
冒頭に登場するのは、山一証券の吉田允昭氏(1938 – )です。
取締役営業企画部長に就任すると、バブルを当て込んだ「営業特金」の廃止を主張して会社を去りました。
ほかに、『ゴーマニズム宣言』の小林よしのり氏、ジャーナリストの筑紫哲也氏(1935-2008)に関する文章も、読みごたえがありました。