明けまして、おめでとうございます。
振り返れば、震災20年の神戸は、試練を克服してきた歩みだったと思います。
想像を絶する震災への対応、困難を極めた復興に神戸は立ち向かい、今日の再生を図ることができました。
もうひとつの大きな試練は、財政再建団体への転落を何としても回避することでした。 神戸市財政は、徹底した行財政改革と経費の節減によって、財政危機を克服することが出来ました。
震災20年後の神戸を展望するとき、これまでとは異なる手法で、都市の発展を図る時期を迎えていると思います。
神戸を新しい成長軌道に乗せ、成長から生み出される財源をさらに将来への投資につなげ、その投資がさらなる成長を呼び込むという好循環をいかに創り出していくかが問われています。
新しい成長への道筋のひとつは、神戸がここまで発展してきた原点 ― 交通の要衝であるという神戸の地位を高め、発展させていくことにあると思います。
神戸港の港勢を高め、神戸空港の利活用を図り、行き止まりになっている湾岸道路の西方への延伸を進めていくことは、不可欠です。
さらに、成長軌道への道筋は、優れた人材、成長力のある企業を神戸に呼び込んでいくことにあります。そのための方策は、産業振興やインフラ整備に限られるものではなく、学力、人間力の面でもトップクラスの教育、子ども、子育てができる環境を含め、トータルな市民生活、非日常性に満ちた都市の魅力を創造していくことだと思います。
新しい知恵や発想がクロスし、火花を散らし、そして、新しい何かが生まれていく ― ここにこそ、都市としての新しい成長軌道を紡ぎ出していくダイナミズムがあるのではないでしょうか。