久元 喜造ブログ

江上剛さんが見た「ひとだま」

書店で、江上剛さんの小説を見つけたので買って読みました。
江上剛さんのことは、昨年7月11日のブログ でも触れましたが、2,3年前に毎日新聞に連載されていた「わたしだけのふるさと」で知りました。
「白いひとだま 生も死も身近に」と題されたインタビュー(毎日新聞2012年4月26日夕刊)を保存してあります。
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江上剛さんは、私と同じ1954年生まれ。ふるさとは、兵庫県山南町、合併して今は丹波市です。
わらぶき屋根の農家がぽつぽつ建っている60件くらいの集落だったそうです。

江上少年は、ある日、ひとだまを見ます。
夏の夜、何人かで縁側に座って夕涼みをしていた時、杉の木の間に見えるわらぶき屋根の上に、ぽん、と火の玉があがったのだそうです。
誰かが、「あそこのおばあちゃん、死んだんやなあ」とつぶやいたそうですが、次の日には、そのおばあちゃんが本当に亡くなっていたと知らされたと言いますから、不思議な話です。

私が子どもの頃、鈴蘭台で見たひとだまは、オレンジ色で、3つ、4つ、尾を引きながら、ゆっくり雑木林の麓から上がっていきましたが、江上さんが見たそれは、「白くて丸い光」で、「ぽわっと浮かんだ」のだそうです。
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さて、書店で買って読んだ江上さんの小説は、『リベンジ・ホテル』。
就職氷河期、「ゆとり世代」の主人公が、破綻寸前の地方都市の老舗ホテルに就職し、悪戦苦闘しながらホテルの再建に挑戦する物語です。しくじりながらも、少しずつ味方を増やし、最後は、貸し剥がしに狂奔していた東大卒の銀行員までをも応援団に巻き込み、ホテルは再建に向かいます。
私も、この新人のように頑張らなければいけないと思いました。
とても励まされ、温かい気分をいただきました。