久元 喜造ブログ

朝日新聞社説「強行」処分批判に答える。⑨


前回
朝日社説は、「新設した規定の内容にはあいまいさが残り、乱用への懸念もある」と指摘します。
条例に追加した休職事由「起訴されるおそれ」「引き続き職務に従事することにより、公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれ」という表現を問題にしていると思われます。

分限処分の対象となる事実は千差万別で、分限処分の種類に応じた事由については、分限処分が任命権者の責任と判断で行われることを前提とした条文として規定されます。
地方公務員法においても、降任・免職の事由として「前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合」(28条1項3号)が掲げられており、今回の追加事由の文言が、法律の規定と比べてあいまいであるとは思いません。
今後の運用については、今回の事件に匹敵するような事案に限定して適用する方針を表明しており、議会での審議においてもこうした考え方を明らかにしています。
将来における運用は、これら改正時の議論を踏まえ、慎重に行われます。

民間労働者の解雇などの不利益措置については、使用者の権利としつつ、判例の蓄積による解雇権濫用の法理などによって制約が課されてきました。
これに対し、公務員の免職などの不利益処分については、法律または条例に定める場合に限定するとともに、任命権者の責任と判断で行うこととされてきました。
朝日社説が主張するような任命権者の責任と判断を著しく制約する制度や運用は、民間労働者と比べて公務員の利益を過度に擁護することになり、均衡を失します。
おぞましい行為を行った公務員が、「身分保障」の美名の下に、民間労働者と比べて優遇されるような対応は許されません。(つづく)