久元 喜造ブログ

「90分飲み放題」は、日本くらい?

先週、日本語を流暢に使いこなすフランス人の方から、こう言われました。
「日本に来て、電車や地下鉄の中で、日本人が酔っぱらうのを見て驚きました」
「パリの地下鉄の中で酔っぱらうフランス人、いません」

最近は、電車の中で酔っぱらっている人は、以前より少なくなりましたが、そんなに、日本とフランスとは違うのか、と訝しく聞き流す私に、フランス人は、さらにたたみかけます。
「『90分飲み放題』とかやっているのは、日本くらいですよ。飲み放題だと、短時間に飲まなければいけない。だから、日本人は、電車の中でも酔っぱらうのです」
「フランス人も飲みますが、ワインをゆっくり飲みます。みんなで会話しながら、楽しみながら飲みます。だから、日本人みたいに、電車の中で酔っぱらうことはありません」

ずいぶん、断定的な言い方をするものだ、と感心しました。
『90分飲み放題』だからと言って、元を取ろうと飲みまくる人は多くはありません。
飲み放題は、飲み代をあらかじめはっきりさせておくための知恵だとも言えます。日本人がみんな飲み放題で飲み狂い、電車の中で酔っぱらっているわけではありません。

しかし、『90分飲み放題』が、異文化に属する方から、こんな風に見られているというのは、新鮮に感じました。
確かに、飲み放題というのは、グレードの高い飲み方とは違いますし、時間に制約されない古典的な庶民の飲み方とも違います。
一方、最近は、『プレミアム飲み放題』と銘打ってワンランク上の銘柄をそろえるとか、『兵庫の酒飲み放題』とか、飲み放題の世界も進化しているようで、フランスに日本の「飲み放題文化」を輸出するのも面白いかも、などとくだらない妄想に耽ってしまいました。